ぉゅ

長江哀歌(ちょうこうエレジー)のぉゅのレビュー・感想・評価

3.3
2022年 鑑賞 22-84-09
NHK BSプレミアム にて
「青の稲妻」「四川のうた」「帰れない二人」等のジャ・ジャンクー監督・脚本による、三峡ダム建設により水没する古都に住む人々が描いたドラマ作品。

ーレトロ&ニューウェーブ スクラップ&ビルドー
香港ではない、中国の作品は久々。しかし、長江はでかいなぁ...

ダムに沈んだ村 × 別れた妻と娘を探す、炭鉱夫の男性サンミン(ハン・サンミンさん) × 工場に働きに出たまま2年間も音信不通となっている夫を探す、看護婦の女性シェン・ホン(チャオ・タオさん)。という構造で展開していく人間ドラマ。

川、自然、「男たちの挽歌」、建物解体業、工場の外観(錆びた感じが超いい)、橋のイルミネーションの綺麗さ。私の好きなものも多いが、あの独特なテンポで続くスピードや、訳が分からないことも多々あり(洗濯物を小さい服1着干した後、奥の白いシンメトリーな四角い建物がロケットのように飛び立つシーンとか、?の連続)、中国自体の生活様式とか理解してないとダメなのかなぁ?とか感じた部分もあった。なんかレビュー自体が不思議の国に迷い込んだよう...

長江のようにゆっくりと長く流れるように、人生も歴史も一定のリズムでずっと続いていく。建てられたものは、いつしか古くなり、壊され、新しく建て直されていく。この三峡はダムができ、新しい町に生まれ変わろうとしている。ダムに沈んだ村、新しいものに溢れた町、壊される建物、新しいテクノロジーが搭載された建物、新しく巨大な船、レトロ感溢れる船、携帯の番号7ケタと8ケタ、壊されている建物も建ったばかりの建物、レトロなものも、最新なもの... それぞれが共存した町で、人々は新たな決断をしていく、決着をつける...

作中にかかる様々な音楽は、それを聞いた私の心情を表していたのかも... まさしく哀しい歌(エレジー)に感じた。
きっと人生は不条理で綱渡りということを伝えたかったのか?

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