のんchan

長江哀歌(ちょうこうエレジー)ののんchanのレビュー・感想・評価

3.6
『罪の手ざわり』1本で大好きになったジャ・ジャンクー監督を観続けて6本目。
最後の楽しみのようにしておいたのだけど...ん〜若干期待外れでした。

監督がインタビューで語った言葉を借ります。
「画家の友人が南西部にある三峡のダム建設の労働者を描くのをドキュメンタリーとして撮るのに訪れた土地。自分の映画を撮るつもりなど一切なかったのに、そこに着いた途端に水没される古都をドキュメンタリーで映そうと感じた。しかし、1週間のうちにシナリオが浮かんできて、急遽、いつも使う俳優たちを故郷から呼んで映し始めたので、主演2人は良く理解出来ないままの撮影だったと思う。
三峡は中国の文化に重要な意味を持つ土地。風景画や詩歌などを育んだ土地で『三国志』の舞台で有名あり、李白、杜甫が旅して詩を作った中国の歴史がそこにあった。今、国が変貌する時を表現しようと思った。」

まさに監督の言葉を聞いて納得したけど、映し出される画像は逆光で顔が真っ暗になっていたり、20年程前にしても随分と古さを感じてしまう。監督は当時35歳だろうか?とにかく渋い。
長回しの風景、壊されていく町。居なくなる人々、しかし人間は生きていかねばならないという普遍的なテーマを感じたが、ドキュメンタリーとして観るには良かったかも知れない。

しかし、そこには俄か作りのドラマがある。
主役が2人の男女で、それぞれ別の話。

山西省で炭坑夫をする男(ハン・サンミン)が、16年前に別れた妻と子供に会いに三峡の町へやってくる。

同じく山西省で看護師をしている女(チャオ・タオ)は2年前に三峡の工場へ働きに出たまま音沙汰がない夫を探しにやってくる。

それぞれ時間は掛かるものの探し出したが、時の流れは人の気持ちを変えてしまうのだった。

確かに長江の景色は墨絵の世界のようだったけど...邦題が良過ぎるかも。原題が合ってる。
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