じろちぃ

花とアリスのじろちぃのレビュー・感想・評価

花とアリス(2004年製作の映画)
4.8
どうやって作ったんだかさっぱりわからない映画。
天才監督と天才女優2人の化学反応をひたすら見せられる。
なんかわからないけど凄い。これが噂の「言語化できない」というやつか。
この映画の脚本を役者さんたちにどうやって納得させたのか。
演じているときにこの作品のこの仕上がりを予測できたのか。
凄いな映画を作る人たちって。
やっぱりどうやって作ったんだかさっぱりわからない。

序盤の駅名でこれから始まるのはファンタジーだよと観客に「観る態度」を念押しする。なので途中、余計な疑問が湧かない。
画面は常に美しく、シュールで、アーティスティック。
それを柔らかい音楽が適度な後押し。
バリバリに作られた世界なのに何故かリアリティもバシバシ感じる。
なんだこれは。



余談。
岩井監督がブレイクする直前に、某手品バーでお見かけしたことがある。
店では主にカードを使った手品をカウンター客に見せてくれる。
目の前で見せられるカードマジックというのはかなり独特な体験で、なんというか、瞬間、全てのしがらみやらなんやらから解き放たれて「わあっ!」と誰もが同じ方向に気持ちを向ける。
瞬間的に絶対的平和な空間になる。
ちょっとした不思議体験。

本作にもカードマジックのシーンがあって、その「瞬間」を感じる。
間違いない。
岩井監督はあのバーのカウンターでひとつネタをストックしたのだ。
そうに違いない。
そして自分はその時間を偶然共有していたのだ!奇跡!歓喜!
(心配ご無用。思い込みだとわかって言ってます。念のため)
じろちぃ

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