ボブおじさん

バトル・ロワイアルのボブおじさんのレビュー・感想・評価

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)
3.3
近未来の国家を舞台に、中学3年生のとあるクラスが最後の1人になるまで殺し合いを繰り広げるというセンセーショナルな内容で公開当時に物議をかもし、国会議員向けの試写会まで開催されるなど社会現象をも巻き起こした問題作。

監督の深作欣二は映画化にあたって、劇中の15歳たちの殺し合いを、自身が15歳の時に経験した戦争と結びつけたという。体制に強いられる理不尽な暴力により意味もなく奪われていく仲間の命(青春)への反骨心を描いた映画だと語っていた。

だが監督の狙いはどうあれ、世間ではこの映画を中学のクラスメイトが最後の1人になるまで、ただひたすらに殺し合うアクション・サバイバルゲームとして捉えられていたと思う。

ゲーム性を高めたのが各自に振り分けられた様々な武器や道具。これによって肉体的な強者が勝ち残る単純なゲームから脱却し、頭を使った駆け引きの要素が加わった。

だがこの狂気のデスゲームは、一発勝負のリセットなし。仲間と手を組んでいても内心は疑心暗鬼にならざるを得ない。ゲーム開始からラストまでずっと嫌な物を見せ付けられたような気がする。

若手人気俳優が多数出演して話題を呼んだこの映画は、後に海外の作品にも影響を与える。タランティーノもこの映画のファンで、出演していた栗山千明を彼の映画「キル・ビル」に出演させたことは有名な話。

ただ個人的には、映画の背景が浅く単に中学生の殺し合いを見せたいだけの悪趣味な映画に感じられた。アクション映画としてもクオリティは決して高くない。

当時圧倒的なカリスマ性を持ったビートたけしを含むキャスティングと設定のインパクトだけで勝負したB級作品としか思えなかった。