BOB

バトル・ロワイアルのBOBのレビュー・感想・評価

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)
3.5
中学生が無人島で殺し合う。賛否両論を巻き起こした同名小説を原作とする、深作欣二監督の大ヒットデスゲーム映画。

「今日はみんなに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」

平成の有名作"バトロワ"、初鑑賞。

公開から20年以上経った今観てもパワフルでセンセーショナル。正直、人間ドラマも、役者たちの演技もクオリティが高いとは思えなかったが、心に訴えてくるものは確実にあった。

これもまた、『仁義なき戦い』と同じく、戦争の縮図なんだな。大人が引き起こした戦争によって青春を奪われる中学生たち。大人への不信感を募らせ、理不尽な社会システムに反骨心を燃やす中学生たち。暴力の無意味さ。人が死ぬということ。

作品全体に漂っている暗くどんよりとした空気感も印象的だった。疲労感、停滞感、不況感、先行き不安感があった。バブル崩壊や世紀末思想の後遺症から抜け出せてない2000年当時の世相を反映しているのだろうか。

北野武が怖い。序盤の教室シーンが白眉。突然ブチ切れて生徒にチョークを投げ付け、終いには半笑いで生徒を殺していく。何を考えているのか読めない感じ、人の命を何とも思っていない感じが不気味で怖い。

深作欣二監督の容赦ないヴァイオレンスが怖い。学園ものの世界に、『仁義なき戦い』と変わらない血みどろヴァイオレンスを持ち込んでいる所、そのミスマッチ感が怖い。

後の人気俳優たちが次々と登場するのも見所。「殺したって良いじゃない」「死ねよブス」と毒を吐き、自分が生き残るためなら手段を選ばない恐怖の草刈り鎌女役に柴咲コウ。男気溢れる武闘派関西人青年役に、れいわ新選組代表山本太郎。本作の演技がタランティーノの目に留まり『キル・ビル』に出演することになる栗山千明。意中の女の子を一途に探し続ける高岡蒼佑。藤原竜也は藤原竜也だった。笑

「人のことを嫌いになるってのは、それなりの覚悟しろってことだぞ。」

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