りょう

侍のりょうのレビュー・感想・評価

(1965年製作の映画)
4.0
 いまさらながら岡本喜八監督の作品を初めて観ました。めちゃくちゃ面白くてビックリです。
 まったく予備知識なく観ましたが、アバンタイトルで「桜田門外の変」の物語だとわかり、その攻防と顛末を描いた作品だと思っていると…。主人公の出生の秘密や暗殺団の内通者をめぐるサスペンスなど、当時の時代劇らしからぬ設定でした。終盤の“衝撃の事実”があらすじにサラっとネタバレしているので要注意です。
 映像も編集もスタイリッシュで、三船敏郎さんを主演に時代劇を制作してきた黒澤明監督とは違う作風ですが、どちらにも独特な魅力があります。よく練られた脚色も秀逸でした。
 中学生のときの同級生に、親戚の祖先が「桜田門外の変」を目撃したという友人がいました。本当か嘘かわかりませんが、雪にとび散った鮮血が凄まじかったそうです。この作品のクライマックスも壮絶ですが、歴史の事実として結末がわかっているのに、その直前の緊張感もハンパない演出でした。
 かなり多作なようですが、機会があれば岡本喜八監督の他の作品も観てみたくなりました。
りょう

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