侍の作品情報・感想・評価

「侍」に投稿された感想・評価

桜田門外ノ変、外伝。
サスペンス仕立ての時代劇ノワール。

アヴァンタイトル、クライマックスのカットバックには驚嘆する事しきり。
なんでも岡本喜八はラグビーを研究して立ち回りを演出したという斬新さ。
音楽も相まって、随所に凝らされたテクニックに唸るほか無し。

〜〜〜

伊藤雄之助の禍々しい表情。
テロリストの首謀たる威圧感と猜疑心の化け物たる視線、したたかで隙のない語り。
今まで見た作品の中にも出ている事を知るも、意識して見た試しなく、大きな発見。

若かりし日の小林桂樹の佇まいに惚れた。

東野英治郎の説明台詞が、少々、いや、かなり長い。そして眠い。
描くべくはそちらなんだろうが、求めるのはそれじゃない。
その退屈さは脚本の所為でしかなく、岡本喜八の工夫と苦労はかなりのもの。

大雪の積もった桜田門外のセット。
白に白を重ねても意味無しと黒い雪を降らせたとかなんとか。
画面を覆い尽くす乱れ降る大粒すぎる雪も本作の主役。

2018劇場鑑賞62本目
cineman

cinemanの感想・評価

3.8
もうすぐ幕末を迎える時代、ひたすら仕官先を求め、命をかける浪人武士の姿が悲しすぎる。
あら松

あら松の感想・評価

3.9
新文芸坐 三船特集にて。
武士という身分とそれに翻弄された人々の悲しい結末。
新納鶴千代は実在しないと知って少しほっとした。本当にこんな人がいたら辛すぎる。
mingo

mingoの感想・評価

4.3
鼻毛を抜いているだけで絵になる三船のオープニングですでに満点はなまる。そして言っておきたいことが2つある、高校の日本史の授業で今すぐ必須映画にして欲しいくらいには傑作すぎることと、もう一つは100%映画館で観るべきことだ。家のDVDで観るならいっそ観るのをやめたほうが良いレベル。
実録風のタッチで伊藤小林新珠といった主役級豪華俳優(その他東野志村八千草大辻天本とあげたらキリがない)を交えた三船を巡るドラマが進んでいく時代劇なのだが、荒々しい白黒画面に雪景色の桜田門外の変をほぼセットで細かく再現し、佐藤勝の音楽と喜八のカットバックが気持ちいいを超えて息をするのさえ忘れさせる展開には「切腹」をはじめて観たときに近い感動再来。友を捨て最愛の人と別れ、それでも時代を変えるために討つべきひとがいる。なんて時代遅れのことを言ったって侍は侍。裏切りなんてなんのその。背中には二文字で哀愁。ネタバレになるので詳しいことは書けないが、頑固?知らん。思想?知らん。信念?愛?希望?細かいこととかどうでもええんや、目ん玉かっぴらいて「生き様」を観れば良い。傑作。
もた

もたの感想・評価

3.8
本当は『斬る』が観たかったのですが、見逃したため、敬愛する仲代達矢ではなく、そこそこ好き、くらいの三船敏郎をみました
役に対してだいぶ老けてますが、芯の太い弁慶タイプの身体で刀を振り回す姿はやっぱり様になる
橋本忍脚本であるが、後の『肉弾』のように主人公の悲運を描いたり、サスペンスを盛り込みながら、どこか緩慢なテイストで話が進む、喜八監督らしさが見られる作品だった
ラピュタ阿佐ヶ谷の岡本喜八特集にて。三船敏郎が剣豪の主人公を演じた王道時代劇。その役柄から黒澤の『用心棒』や『椿三十郎』を思い起こさせるが、本作の主人公新納鶴千代は身分の違いから叶わぬ恋に破れ自暴自棄になるという、より人間的な弱さを持った存在として描かれている。その分『用心棒』などのような痛快な娯楽性よりも、主人公の生い立ちの悲劇的な側面も含めて叙情性が強調されている。それでも自分に差し向けられた10人近い刺客をメッタ斬りにするシーンの迫力はまるで『用心棒』のワンシーンのよう。最後の桜田門外での井伊直弼の首を取るまでの死闘の迫力も凄まじい。最後の、自分の生い立ちからくる悲劇を知らず、井伊直弼の首を誇らし気に掲げる鶴千代の後ろ姿が何とも哀しい。

往年の日本映画ファンにとっては東宝のお馴染みの顔ぶれが見られるのも嬉しい。特に井伊直弼暗殺を企てる首領の星野監物を演じる伊藤雄之助の「顔」の迫力は凄かった。正に怪演というにふさわしい。
三船、老けたな…と思ってしまったけど、今作ではそれが合っているような気もした。
「鬼才・奇才・キ才 岡本喜八」
@ラピュタ阿佐ヶ谷
なんだこの禍々しさは。
すべての出来事が寸分違わず悲劇に直結する歯切れの良さと、気持ちの悪さ。運命の前では人は虫けらに過ぎない、ということを滑稽さと残酷さをもって突きつける。必死にあがいても、縄は己が首を絞めるだけだ、と。
悲哀、愁いなどという生易しい感情では、この悲劇は語れない。どす黒い感情に胸が満たされる。こんな特殊な映画、おそらく他にはない。
otom

otomの感想・評価

4.7
寒い日だったので久々の鑑賞。桜田門外の変を舞台とした実に哀しき男と消えゆく侍の物語。タイトルからラストの雪の桜田門外まで全く無駄がない。鑑賞者は東野英治郎のもどかしさと共に三船敏郎の行く末を見守り、侍の終焉を突き付けられる。しかしシリアスな岡本喜八作品でもテンポ、ズームの気持ち良さは変わらず。珍しく悪そうな役の伊藤雄之助も嫌いではない。勿論、傑作。
世界のミフネの四つの貌を見比べて 岡本喜八「侍」

テレンスヤングの珍作「レッドサン」の黒田重兵衛がきらいなわけでもないし
小林正樹「上意討ち 拝領妻始末」の笹原伊三郎が悪いとも思えず
稲垣浩「戦国無頼」の佐々疾風之介にケチつける気は全くありません 。
が 、
やはり岡本喜八 監督「侍」の新納鶴千代の出鱈目さが格別です。
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