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スモークのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
5.0
オーギー・レン(ハーヴェイ・カイテル)はブルックリンの街角で煙草屋を営み、毎日欠かさず店の前の街を写真に撮ることを趣味にしていた。その店の常連で作家のポール・ベンジャミン(ウィリアム・ハート)は数年前に妻を強盗の流れ弾で失って以来、仕事が手につかない。ぼんやりとして車にはねられそうになったポールはラシードと名乗る少年(ハロルド・ペリノー・ジュニア)に助けられ、彼は感謝の印に家に泊めてやる。少年は数日で出ていったが、その数日後に少年の叔母が来た。彼の本名はトーマスで、行方不明で心配しているという。そのトーマスは子供の頃生き別れになった父サイラス(フォレスト・ウィテカー)のガソリン・スタンドに行き、本名を隠して掃除のバイトをする。ポールを再訪したトーマスは、実は強盗現場で落ちていた六千ドルを拾ったのでギャングに追われていると明かす。ポールはトーマスを家に置き、オーギーに頼んで店で使ってもらう。トーマスはオーギー秘蔵の密輸キューバ葉巻を台無しにしてしまうが、例の六千ドルで弁償するというのでオーギーも許す。オーギーの所には昔の恋人ルビー(ストッカード・チャニング)が来ていた。実は二人には娘(アシュレイ・ジャッド)がいて、18歳で麻薬に溺れていた。オーギーは娘を麻薬更生施設に入れる資金にしろと、例の弁償の金をそっくりルビーに渡した。ある晩、トーマスに盗んだ金を持ち逃げされたギャングがポールの家を襲う。外から様子を察したトーマスは姿を消す。負傷したポールとオーギーは息子同然のトーマスの安否を気づかうが、彼は電話で無事を告げてきた。二人はサイラスの所でバイト中のトーマスを訪問し、彼に親子の名乗りをさせる。晩秋、ポールにニューヨーク・タイムズ紙がクリスマス向けの短編を依頼してきた。ネタがないと困るポールに、オーギーは自分の14年前のクリスマスの体験を語って聞かせる。帰宅したポールは『オーギー・レーンのクリスマス・ストーリー』の原稿に取りかかる。
10年以上もの間、毎日、同じ場所にカメラを向けるタバコ屋の店主にハーヴェイ・カイテル。店の常連客で、店主の写真のなかに亡き妻の姿を見つける作家、ウィリアム・ハート。そこにもうひとり、作家を交通事故から助け、父親を探す黒人少年。映画が進むにつれ、3人それぞれの家族関係が浮き彫りにされていく。 偏屈な煙草屋オーギーとスランプ中の小説家ポールのベタつかない男の友情、スランプ中の小説家と父親を探す青年の交流、父親を探す青年ラシードの新たな再出発、人々の絆の儚さと温もりがじんわり伝わってくる傑作映画です。「人の魂を測るのは煙を測るようなもの」ラストのオーギーのクリスマスストーリーが印象的です。
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