地底獣国

ダークナイトの地底獣国のレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
3.8
Why so serious?

「オッペンハイマー」が日本公開までにワールドワイドで上げた興行収入は9億5千万$、これはノーラン映画史上2番目の額だとか。で、恐らく本作(10億3千万)の1番は動かないでしょう。

本作を絶賛される方もそうでない方もほぼ全ての人が以下の二点については同意見なんじゃないでしょうか。

1.ヒース・レジャーが演じたジョーカーの凄さ

無論あのキャラクターはヒース1人で作り上げたものではありませんが、あの凄みはやはり彼の魂を削った演技の賜物と言ってよく、いくら言葉を尽くしても賞賛し足りないのは確か。鉛筆を消すマジックのところはいつ見ても惚れ惚れしますし、口の傷についての話を二度目に語る場面は初見時震えが来たのを覚えています。


2.無駄に時間を食った香港出張

まあその、007好きなのは知ってるし、やりたかったのは分かるけど、でもそういうのは良くないぞクリス!

「下手の横好き」と申しましょうか、基本的にアクション演出にキレを欠く人なのに結構時間割いちゃったから余計にこのパートがダレたという…困ったもんです。

その代わりと言うか、ノーランは変則的アクションのアイディアに賭けてるところがあって(代表的なところでは「インセプション」のセットグルグル回しながらの格闘とか、「TENET」の逆回転アクションとか)、本作でも中盤のチェイスで見せるバットポッド射出シーンとトラックの前転が大変素晴らしいんで大抵の人は香港の事なぞ忘れてしまうんでしょう(俺は忘れてないからな!)。



あと、世界観の構築やリアリティラインの引き具合が上手くない(同年公開のアイアンマンと比べれば明白)とか、タンカーに仕掛けた爆弾の話で引っ張り過ぎ(ティム・バートンが演出してたら「善良な市民の皆様」は速攻でスイッチ押してたと思う)だとか、ジョーカーの出番が終わった後に話を畳みに行くところがバタバタし過ぎとか文句を言いたいところも結構ありまして。

とはいえやはりプラスの部分がどデカいので全体として見れば良い映画なのは間違い無いんですが。
地底獣国

地底獣国