けすん

ダークナイトのけすんのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.5
圧巻の一言。DCの映画は酷評が目立っているイメージだったが、この作品はレベルが違う。圧倒的映像美。爆破のシーンはCGを使わずにノーカットとのことで、迫力が凄まじい。また正義のヒーローとは言い難いダークナイトという立ち位置のバットマンがこれまた渋い。人を助け皆にチヤホヤされるのがヒーローだと思っていた自分が浅はかだった。真のヒーローたる男の生き様は痺れる。この作品を見終わってすぐにまた見たいと思わせてくれる。

この作品はなんといってもジョーカーのカリスマ性が凄まじい。悪役のことをここまでカッコいいと感じたのは初めて。哲学的で言葉に説得力があり、ただの悪者ではなく時に彼の思想に共感をしてしまった。憎しみというものを自分自身が一番理解しており、善人でも悪人にいとも容易く豹変してしまうことを誰よりも知っている。ジョーカーはそういった過去を自分自身が経験しているからこそあそこまでのカリスマ性や説得力があったのだと思う。ヒースレジャーのアカデミー助演男優賞は納得。圧巻の演技力で悪のカリスマを完璧と言っていいほどに演じきっている。ここまで役にハマってしまうと現実世界でも狂ってしまいそうと感じてしまうほどだった。

ジョーカーを筆頭に一般市民を巻き込んでいくスタイルが非常に良かった。バットマンとの間だけの戦いではなく、この世の人々の内側に秘められた憎しみを解放させるが如く様々な手段を講じて人を操っていく。この全員が参加しているという感覚が良かった。

混沌とした世界を実現するべく人々の憎しみに着手していくジョーカーのスタイルが知的で最高にクール。主人公のヒーローであるバットマンを食ってしまう勢いで人気のジョーカーの意味が理解できた。こんな超大作を作ってくれたクリストファーノーラン監督に感謝。
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