K

ダークナイトのKのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
4.5
言わずもがな 故・ヒース・レジャーの狂ったジョーカーで大ヒットしたノーラン版バットマン第二章です。
ノーランは元々理屈屋で現実思考ぶってるところがあるのが魅力の一つです。彼にとって、防具を付けて悪と闘うヒーローは、コスプレ野郎という視点です。
しかし忘れてはならないのは、この「コスプレ野郎」という解釈はノーランの正直な気持ちではなく、「観客の皆さん、僕はバットマンをスーパーヒーローと思ってるようなオタクじゃないですよ!」と言い訳しているように見えるのが可愛いところです。
現に序盤のシーンでバットマンを模して闘う一般人を悪人と一緒に縛りあげます。そして「俺はホッケー防具なんか着けて闘わない」というセリフを言わせます。
ノーランにとって、バットマンはプライドある象徴なのです。

今回はそのプライドの塊をことごとく馬鹿にしてくるジョーカーが相手です。このジョーカー、ヒース・レジャーの熱演もあってか説得力が半端じゃありません。
ジョーカーという存在は、映画の中の現実を客観的に見るメタ的な悪魔です。
「確かに俺はフリークだけど、俺とお前(バットマン)、一体どこが違うの?」と終始問いかけ、
理性を保とうとする人間には
「本当は怒りたいんだろう?自分に嘘つくのはやめなよ」
と囁くのです。こうやって人をなだめたり、痛いところを言葉という武器を使って苦しめてくる所が今作のジョーカーの最大の魅力です。そして「ヒャッハー」と叫びながら銃を乱射するような陳腐な悪役とは一線を画する所です。

バットマンは殴り合いではジョーカーに勝てるのに、頭脳では押されっぱなしです。
いいいたぶり方です。バットマンのように理性がありプライドの高い筋肉ヒーローには拳で打ちのめされるよりも痛い事です。


そしてそんなジョーカーよりも、僕の心を奪っていったのはバット・タンブラーの緊急脱出ポッド、バットポッドです。初めて見た時、登場時にめちゃくちゃテンション上がりました。なんですかあのかっこいいバイクは。そしてドリフトする時はなんとタイヤが横に回転します笑
ずっとリアル路線の映像が続くのに、物理的にあり得ないバイクの動きをするんです。これが現実思考・理屈屋“ぶってる”所のいい例ですよ。そういう所、本当大好きです。
いつか必ず、バットポッドに乗りたい。

とてもかっこいい映画です。
「私も逮捕されるんですかね。」
「君が黒幕だと言うつもりだよ?」
この2人も最高ですよね。
K

K