パラオで撮影されたという南洋の島の民間航空会社支所に、新所長が赴任してくる。これがえらく堅物だから、南洋スタイルで万事やっていた飛行機乗りたちと事ある毎に衝突、視力問題で飛行から外された男が悲憤から発狂したりもする。が、所長の厳格と社員引き締めには理由があった。南洋進出の国策に伴い、赤道超えの開拓飛行に挑戦するというのだ。飛行機乗りたちの冒険精神に火がついた。
国策映画ではあるが、これは戦う相手が人間でなく自然だし、飛行機乗りたちの職業人としての意地や誇り、冒険精神が映画の眼目になっているので抵抗少なく見やすい。新所長と飛行機乗りたちとの葛藤の決着が有耶無耶なまま終わってしまうのが欠点とはいえ、各登場人物は個性的によく描き分けられ人間くさく、演出は一貫して洗練されている。円谷英二の特殊効果も見事なもので、航空映画としても特撮映画としても見どころの多い佳作となっている。