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バトルランナーのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

バトルランナー(1987年製作の映画)
4.0
21世紀。TVによって国民をコントロールする全体主義国家アメリカで、ベン・リチャーズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)は警察官としてまじめに勤めていたが、ある日上司の命令にそむいたため、大量殺人の汚名をきせられて投獄された。だが、強制労働の監獄で知り合ったラフリン(ヤフェット・コットー)、ウェイス(マーヴィン・J・マッキンタイア)らと脱獄、リチャーズは2人と別れ、弟の住むアパートヘ向かった。が、弟はおらず、かわりに住んでいたのは放送局に勤めるアンバー・メンデス(マリア・コンチータ・アロソン)だった。彼女はリチャーズがTVニュースで報道されている殺人犯と知り恐怖におののく。リチャーズは彼女を道連れに国外逃亡を計画した。そのころ、ロサンゼルスのICSネットワークでは、視聴率トップの殺人ゲーム・ショー「ランニングマン」の企画者でホストのデーモン・キリアン(リチャード・ドーソン)が、低迷の兆しの出てきた番組をテコ入れすべく“獲物”としてリチャーズに白羽の矢を立てた。一方、そのリチャーズは空港でアンバーが警察に助けを求めたため逮捕された。監獄に逆戻りかと思ったリチャーズは「ランニングマン」に出場するよう強制される。無事に生き残れれば釈放するというのだ。「ランニングマン」が華麗なダンサーたちの踊りで始まった。ホストのキリアンは冒頭にリチャーズがいかに残虐かをデッチ上げフィルムで紹介する。憎悪をむきだしにする観客。だが、彼と一緒に空港にいたアンバーは映しだされた映像がウソであることに気づき、TV局の資料室に忍び込んだ。一方、リチャーズは戦闘場である“ゾーン”へ放り込まれた。共に闘うのは一緒に脱獄したラフリンとウェイスだった。彼らも逮捕されていたのだ。“ゾーン”で彼らを待ち受けていたのはホッケーのスティックを殺人武器に変えたサブゼロ(トール・タナカ)。リチャーズは激しい闘いの末倒す。“ゾーン2”にはチェインソーを自在に操るバズソー(ガス・レスウィッシュ)が待っていた。しかも、資料室で見つかってしまったアンバーが放り込まれて来た。ラフリンがバズソーにやられ、怒ったリチャーズが逆襲。3人目は装甲バギーに乗るダイナモ(アーランド・ヴァン・リドス)。ダイナモが放つ電流によりウェイスが倒れた。そのダイナモを葬り去ったリチャーズに、観衆の中で拍手する者も現われた。苛立つキリアンが切り札として送り込んだのはナパーム放射器を装備したファイアーボール(ジム・ブラウン)。追いつめられたリチャーズが目にしたのは、このゲームで生き残り、リゾート地で悠々自適の生活をしているはずのかつての優勝者たちの死体だった。リチャーズはファイアーボールも倒した。意外な展開にあせったキリアンは、ビデオ合成でリチャーズがキャプテン・フリーダム(ジェシー・ヴェンチュラ)に倒されるシーンをデッチ上げ、観衆をなんとか誤魔化す。そのころ、レジスタンスに助けられたリチャーズとアンバーは武装してTV局を襲撃。同時に、通信衛星をジャックしてリチャーズが汚名を着せられていた真実の映像をアメリカ全土に流した。そして、リチャーズは怒りの銃弾をキリアンにぶち込むのだった。
スティーブン・キングが別名で発表したデストピア小説を映画化。
監督のポール・マイケル・グレイザーに決まるまで、ジョージ・P・コスマトス、アンドリュー・デイビス2度監督交代して多額の予算を浪費したことから、セットやコスチュームなどの作りが安っぽくユルいアクションシーンがB級アクションと賛否両論だったけど、犯罪者がランナーとしてストーカーに追われながら4つのゲームゾーンを通過しゴールにたどり着けば無罪放免という「ザ・ランニングマン」に熱狂する馬鹿な大衆と視聴率のために何でもありな無節操なマスコミとリアリティーショーそして弱者が弱者を叩く社会構造を予見したデストピアアクション映画としてカルト化しているのも頷ける社会批評的な面は、面白い。
ホッケースティックに刃物を仕込んだサブゼロやチェーンソーの使い手パズソーや電飾を身に付けたバイキング風なダイナモや火炎放射器を武器にするファイヤーボールなどのランナーを追い詰めるストーカーのイカレた魅力、チェーンソーで身体を真っ二つにしたり、鉄条網で絞め殺したりの過激なバイオレンスは、80年代アクション映画の脚本を多く手掛けたスティーブン・E・デ・スーザならではの面白さがあり、クセになるデストピア・アクション映画。
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