はつみハツ子

ハッシュ!のはつみハツ子のレビュー・感想・評価

ハッシュ!(2001年製作の映画)
4.0
きっとwikiなどであらすじだけを見ると、同性愛者による精子提供が主題に思われるかもしれません。
しかしそれは、手段でしかないのだと思います。

どこか家族に確執を感じる3人が、お互いと向かい合い、共に「家族」と向き合う映画だと思います。
そしてそれらを失ったとしても、大切な人たちと生きてゆき、いつかは家族に・・・
そんな明るい未来が拓けるエンディングでした。

この作品は監督がゲイであるためか、勝裕や直也の姿がとても自然体でリアリティがありました。
出会って、怒ったり、すれ違ったり、仲直りしたり、キスしたり
ふたりの恋人としての生活に触れるたび、柔らかく心が溶けていくようでした。

またゲイ映画でありながら、朝子という女性についてもしっかり描かれていました。
朝子ほど激しくないにしろ、女性として生きにくさは私も感じているものです。

パッケージのシーンは、3人がお互いのへそ毛を見せあい笑いあうシーンなのですが、
ひとりひとり違っていて、だからこそあまり人に見せたくない、そんな部分を見せ合い、違いを認め合いながら笑える、そんな3人の関係が温かく、またそんな関係を持たない私にはすこし切ないシーンでした。