ゆず

ハッシュ!のゆずのレビュー・感想・評価

ハッシュ!(2001年製作の映画)
4.0
ハーゲンダッツ、東京バナナ

やっぱり子供は、大きな責任を伴う、一個の人間を作っていくことじゃないですか。怖いですよね。よっぽど自分が…。自分が1人でいるのが寂しいから子供をというのは、僕は絶対嫌だし、自分の生活の基盤や精神的な安定とかちゃんと信頼できるパートナーがいるとか、そういうものが出来て初めて、その次の段階にどう人生を進めていくかって選択の中に、子供っていうのもありかな、と思えたらそれはそれでいいと思うんです。でも、今のところは…。

3人が鍋を囲んでるラストっていうのがあって、あの冬の場面ではトホホな感じだった3人が、とりあえずそこまでいけたと。永遠のつながりじゃないけど、人とつながって「今この人たちと一緒にいて、とっても心地いいよね、僕たちは。」っていうところまで行って、引越しもできた。

FIX(固定カメラ)の長回しは観客が画面上のどこを見てもいい状態になり、役者の芝居を集中して見ることができる。また、映画内と観賞者間での時間経過が同じで緊張感が生まれるなどの効果があります。

ここで挟まれた朝子のアップは、ともすると熱量が上がってしまって説教くさくなってしまう可能性もある。ただ、朝子の主張には確実に迷いや不安も見えるからこの選択も生きてくるんです。前半のテンポのいいカット割りでそれぞれのキャラクターを見せた後に、人物の関係性や役者の芝居を見せることに適した長回しを要所要所で使うことで、独特のテンポを生み出すことに成功している。そして映画を観ているときには長回しだと気づかないシーンも多い。つまり長回しが目的になっていない。それってとても大切なことなんですよね。
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