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ダンボのRのネタバレレビュー・内容・結末

ダンボ(1941年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

1954年のアメリカの作品。

監督は「ミッキーの移動住宅」のベン・シャープスティーン。

あらすじ

サーカス団の象ジャンボの元にコウノトリが1匹の赤ちゃん象を届ける。その子像はとても愛らしかったが、唯一耳が大きいことが他の象と異なり、他の象から笑われてしまい、「ダンボ」とあだ名されてしまう。耳が大きいだけで奇異の目に晒されたダンボは母親からも引き離され、悲しみに暮れる中、サーカス団員のネズミのティモシーに助けられ、サーカス団のスターを目指すことになるのだが…。

象のアニメキャラクターといえば、多分誰しもが思い浮かぶであろう、ダンボ。あのティム・バートンによって2019年に実写化もされた、あまりにも有名すぎる作品だが、恥ずかしながら俺自身ほとんどまともに観たことがなくて、ようやく初鑑賞。

お話はあらすじの通り、序盤のコウノトリのシーンで他のサーカスの動物たちの元にはそれぞれ可愛らしい赤ちゃんが届けられてくるのに、ダンボのお母さんジャンボの元には一向に赤ちゃんがやってこない!のくだりからも、てっきり手違いでお母さんに会えなかったダンボがお母さんを探す「母を探して三千里」形式の内容なんかと思ったら違うんだな。

その後、ちょっと遅れてちゃんと届けられる。じゃあ、序盤のなかなか来ないくだりなんだったん笑。

それはそれとして、まぁ〜ダンボが当たり前だけど可愛らしいっ!!真っ青な瞳のぱっちりお目目にまだちゃいちぃお鼻やずんぐりむっくりの赤ちゃん体型とまぁものの見事にチャームに溢れた見た目でほんと見てるだけで微笑ましい気分になってくる♪

ただ、お母さんのジャンボ以外のゾウさんたちにとっては他の象よりも大きすぎる立派な耳が訝しく見えたらしく、送り届けられた時の祝福ムードから一転、女性特有の「ハブ」の空気感がすごい。お局のゾウさんとか、やたらめったら情報通ぶっていらんこと吹き込むやつとか見た目のおばさん感と相まって「やだみ」がすごい。こういう差別描写もこの当時のディズニー、意外と容赦ないよな。

で、それはサーカスを訪れる人間にとっても、そう見えるらしく、見せ物になったダンボを見に来た、まぁ見るからに性格悪そうな(つか、こいつピノキオにも出てこなかったっけ?)ジャリボーイがからかったことでお母さんが激昂、暴れまくったことで確率されてしまう。

で、まぁお母さんも隔離されて、残された他のゾウさんたちからも忌み嫌われて、1人ぽつんと目にいっぱいの涙を溜めてゆらゆらと体を揺らしながら、悲しみに暮れるダンボ…。かわいそうすぎる…。観て思ったんだけど、他のゾウさんやジャンボは話すのに、ダンボだけ劇中一切お話しないんだよね、それも相まって見た目の愛くるしさに反した「不憫さ」がある。ここら辺は同じくディズニーキャラクターの「プーさん」にも共通する要素でディズニーはこういう「可愛らしさ」と「不憫さ」を共存させてキャラクターに反映させる節があるんだなぁ。

で、そんなダンボの様子を見て放っておけなくなったサーカス団員のティモシーがイイヤツすぎる!!他のゾウにいじめられているところをすぐさま追っ払って勇気づけて、サーカスのスターにならせることを提案する。

サーカス団長の枕元で囁いて、ゾウのピラミッドの頂上にジャンプする大役に抜擢されるんだけど、自分の耳を踏んづけてしまったことでジャンプ失敗!あろうことかサーカスのテントまでぶっ壊してしまう大惨事を引き起こしてしまい、スターになるどころか、当てつけでピエロにされて笑われ者になっちゃう。

で、束の間隔離されたままのお母さんと再会して次に臨もうとするんだけど…。

ここで誤って酒入りの水をがぶ飲みしてしまったダンボとティモシーが見るのが観てない俺でも知ってる、あの「ピンクのゾウ」のシーン。

酔っ払って見る悪夢的な演出となっているんだけど、どこか薄気味悪ささえ漂うラッパの行進曲にのせてゴーストチックなピンクのゾウたちが次々と登場すると、大小様々な形に変容し、頭だけゾウのウニョウニョヘビ体型になったり、ゾウの頭がたくさんついた合体ロボみたいになったり、かと思えばエキゾチックだったり、ロマンティックな音楽でスタイルやムードを変えて踊りまくる。黒バックにピンクを基調としたカラフルなゾウたちが動きまくる様はそれだけ見るとエッジが効いてアバンギャルドかつエキセントリックでどこかアート的ですらあるんだけど、やっぱどうしてもヤク中が見るドラッギーさが群を抜いていて、これを当時の子ども向けのファンシー映画に差し込むってディズニーやっぱ頭どうかしてるだろw

で、そのあと、現実の俺たちにも経験ある、酔っ払って気づいたら全く違う場所で起きて朝を迎えるシーンで、それまでハンディで畏怖の対象であった立派な耳を生かして、本番の舞台でも成功一躍スターとなって、お母さんも釈放されてめでたしめでたしで終わるんだけど、やっぱ見終わった今もあの悪夢的シーンが忘れられない。

ダンボの愛らしさと異彩を放つ悪夢的シーンのバランスがかなり歪な観てみると結構変な作品で面白かったです。
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