もとまち

ザ・クラッカー/真夜中のアウトローのもとまちのレビュー・感想・評価

4.2
究極のオス映画! タンジェリン・ドリームのシンセサウンドをバックに、冷たい夜の街が映し出されるOPからしてマイケル・マン節全開。初期作品の時点で既に作家性が完成されている。でも『ヒート』の頃のようなスタイリッシュさは薄くて、どちらかというとジョン・ウー的な超どストレートな男臭さが本作にはある。ボスだろうが汚職刑事だろうが誰を相手にしても絶対に媚びないジェームズ・カーンの一匹狼ぶりよ。いくらでも上手に立ち回れそうな立場なのに、オスとしての性がそれを許さないのだろう。プロの金庫破りである彼は、妻と子を持ちカタギとして生きようとするものの、その性格が災いしてボスの報復を受け、あえなく夢やぶれる。終盤、これまでの生活をやり過ぎなくらい清算(物理)するシーンは驚愕。妻と子には大迷惑だが、所詮彼は一匹狼なのだ。そしてラストのダサダサな銃撃戦。クドいほどのスローモーションと血飛沫の連発は、ほとんどジョン・ウーにしか見えない。ケリをつければそのままエンドロール突入!ギラギラした男の美学が詰め込まれた傑作! アクションなんてほとんど無い映画だが、丁寧に描かれる金庫破りの仕事現場が最高に渋いので全然良いのである。
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