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ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのveのレビュー・感想・評価

4.0
悪魔のような映画。人間の尽きない欲望から目を背けることなく、欲に忠実な人間を肯定する。悪である主人公が自身の正しさを語り、暴れ回るラストにある種の爽快感を感じるのは、人物描写に導かれたからだけではない。主人公から攻撃を受ける人物の憎たらしさは誰もが感じるところ。けれども同様にその人物の、欲を覆い隠し「正論」を主張しながら欲求に屈せざるを得ない姿に、自分を投影してしまう。だから自分自身が破壊されたような気分になってしまう。

しかし欲望剥き出しの主人公の言動にそうやって感化される一方で、彼が分かりやすく弱みを見せる場面を観て、人間そのものの矛盾について考えさせられる。観れば観るほど、考えることが増えていく作品です。
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