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ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのadeamのレビュー・感想・評価

2.0
PTAにとって前作のライトでシュールなコメディ路線が方向転換ではなく、あくまで箸休めであったことを証明した重厚な人間ドラマ。
「マグノリア」までのシリアスとコミカルをバランス良く配合した群像劇スタイルを脱却し、富を追い求める男の虚しい物語を真正面から描いています。
強く主張する訳でもないのにやけに不安感と不快感を煽ってくる音楽はレディオヘッドの天才ギタリストとして知られるジョニー・グリーンウッドによるもので、今作での成功は彼が映画音楽に精力的に取り組むきっかけとなりました。
資本主義の権化のような主人公と、神の名を借りて私欲を満たす男と、友人の名を借りて富にありつこうとする男。
彼らが共存できなかったのは相容れないからでなく、その強欲さが似たもの同士だったからと感じました。
ラストシーンをピークに鬼気迫る演技合戦を楽しむことはできましたが、それが生み出すドラマにはあまり心を動かされませんでした。
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