贅肉

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドの贅肉のレビュー・感想・評価

4.0
キチガイと暴力で押し切っていてもちろん最高!過去作のような都会の片隅で人情噺を発展させるチマチマした規模で映画を撮っていない。超越的な視点で映画を撮っている。キチガイの人生に迫りながらも視点はビタ動かさず安易に観客の感情に訴えかけない姿勢からもポール・トーマス・アンダーソンは更なる高みへ到達したのではないか(「ブギーナイツ」「マグノリア」も凄いのは前提として)。黙って都合良く動く人間を仕え他者を突き放し屠ってきた過去の再生産をわざわざ欲望の果てに手に入れた箱庭(屋敷)で行わせる終盤にポール・トーマス・アンダーソンの意地悪さが剥き出ていて興奮しながら観ていた。ポール・ダノ、キチガイに擦り寄ったばかりに…。ダニエル・デイ=ルイスとポール・ダノの対話がただただ素晴らしい。凡人は一握りのキチガイに蹂躙され、キチガイもまた世界に飲まれる最高の映画。いよいよ無敵のポール・トーマス・アンダーソン、「ザ・マスター」で何を観せてくれるのか期待MAX!
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