レントン

真昼の決闘のレントンのレビュー・感想・評価

真昼の決闘(1952年製作の映画)
3.6
午前十時の映画祭で鑑賞。
グレース・ケリーが出演している以外の事前知識無しで臨んだため、町山智浩さんの解説動画が非常にありがたかったです!

一般的なイメージの西部劇ではなく(解説によると50年代の赤狩りに迎合して味方してくれないハリウッド=西部劇へのアンチテーゼとして作られたらしい)とにかく鬱屈としたヒューマンドラマが展開されます。

かつて逮捕した無法者が殺し屋を連れて復讐にやってくることが判明し、主人公の保安官が街の住民に協力を求める。しかし、会う人会う人にあれこれ理由をつけられて断られ、さらに奥さんにも見捨てられ、最後の最後までとことん味方が現れず、結果たった一人で決闘に突入!どうなっちゃうの?というのが大まかなあらすじです。

1952年の作品ですが、面白いくらい「こういう考えの人、現代でもいるよね!」といったキャラクターがわんさか出てきます。例えば、協力者を求めて入った教会では「保安官には高い給料払ってるんだから、お前が解決しろ!」なんてことを言うおじさんがいて、とても印象的でした。そういえば「金払ってやってるんだから〇〇しろ!」って言ってくるクライアント、普段仕事しててもいるなぁ...なんてふと思い出してしまったり笑

さらによーく見ていくと、正義側にいるはずの主人公も結構問題ありありです。鑑賞中は「なんでこの人こんなに人望ないんだろう…」と悲しい気分になりますが、見終わった後で「確かに街の英雄ではあるけど、まぁ積極的に助けたくなるような人物じゃないよね…」とある意味答え合わせできた気分になりスッキリします笑

当時の赤狩りという政情から、人間の醜い部分を西部劇という体裁で見せるのがこの映画の趣旨の一つだったと思うので、その目論見が見事に成功していて、ヒューマンドラマとして非常に面白かったです!

ただ、人生初の西部劇がコレだったので...今度はコテコテの娯楽要素全振りの西部劇をちゃんと観てみたいなぁ笑
レントン

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