トムヤムくん

真昼の決闘のトムヤムくんのレビュー・感想・評価

真昼の決闘(1952年製作の映画)
3.7
今日は『決闘の日』らしいので再鑑賞。

町の人々を守るために男らしくいなければならない保安官という存在が、まさかの争いを恐れて、敵の襲撃を怖がり、協力者を求めるも町の誰からも助けてもらえない。孤独に苛まれながら敵と対峙する物語。

監督は後に『地上より永遠に』や『わが命つきるとも』でアカデミー賞を二度受賞するフレッド・ジンネマンで、主演は本作で2度目の主演男優賞を受賞するゲイリー・クーパー。

ラストの保安官がバッジを地面に投げ捨てて、権力すらも批判するシーン。これは当時の時代背景として、共和党員ジョセフ・マッカーシーによって推進された「赤狩り」(共産主義あるいはその同調者に対する取り締まる運動)があり、体制による思想弾圧を黙認するアメリカ人を批判したものと読み取ることができる。

それを証明するかのように、本作の脚本家であるカール・フォアマンは、その後「赤狩り」の対象となり英国に逃亡している。これまで西部劇のスタイルを破壊し、政治色が強く感じられる内容であったため、当時は批評家から大バッシングを受けた。

しかし、第25回アカデミー賞では作品賞を含む7部門にノミネートされて、主演男優賞や編集賞などの合計4部門を受賞した。

初めて見たときは「全然決闘しないやん!つまんな!」とか思ってたけど、これって結局は決闘までのハラハラドキドキを楽しむための映画で、約80分と短いから無駄なシーンが全然ないし、ずっと緊張感も途切れない。そして短いのに、人物描写がリアルで良い。面白い面白くないとかそういうのを通り越して、単純に凄い映画だと思う。