カーズWSA

真昼の決闘のカーズWSAのレビュー・感想・評価

真昼の決闘(1952年製作の映画)
3.5
『ベルファスト』内で不意のグレイスケリーに目を奪われ、次にこの映画を選ぶということは心も奪われたってことでしょう。
元々グレイスケリーのものでもありますが。

この映画自体は昔と今で全く違う印象に。

若い頃観たときは素直に観れました。
12時にミラーが到着する。やべえ奴だ。

ゲイリークーパー、俺はやはり逃げるのは性に合わない、戻って対決だ!意地とプライド。
かっこいい。

なかなか思うようにならなくて、でも時間は刻一刻と迫ってくる。うーもどかしい。どうなるんだ、と。
純粋にワクワクジリジリ観れました。


ナナメからしか見れない大人になるのはイヤです。周りに流される大人になるのもイヤです。

いや勝手すぎ!とりあえず逃げろよ。みんなに迷惑かかるだろ。ずいぶん勝手なこっちの都合。
グレイスケリーいるじゃんよ。いったいどれだけ女が男を許してきたんだろ。
走ってた ゲイリークーパーだけ1人で

現実から目をそらし、勇気や行動力がないためにダンマリの住人たちに昔は憤りを覚えました。そりゃ星捨てるよ、と。
でもね〜。それぞれみんな立場があるから。


対決シーンは良かった。
ずーっと思うようにならなくて町中をウロウロウロウロ、時計見て、あと何分あと何分、とこっちもかなり焦らされてるんです。そこから突然動き出すから。

結末知ってても勝手にタラレバ想像してハラハラできました。

その1ウォームアップ、その2覚悟、が大事だと思いました。

その1。
ウォームアップをしときなさい。と言ってくれる安西先生はここにはいません。駅でほぼ動かずただ待ってる3人(うちひとりは酒飲んじゃってる)プラス列車に乗ってたミラー。みんな座ってるだけ。オーマップ?なんだそりゃ。

ウォームアップをしときなさい。と言われたわけではないですが結果的にずっと歩き回ってた挙句、殴り合いまでして顔洗ってサッパリしたゲイリークーパー。充分あったまってるでしょう。

その2。
ミラー本人はわかりませんが、他の3人はハナから多対1感を出してる。これがスキを生む。人数が何人いようと、それぞれが1対1のつもりでやらんと。

片やひとりきりのゲイリークーパーは遺書まで書いて覚悟してます。決して死にに行ってるのではなく死んだ場合のことも考えて、です。覚悟とは暗闇の荒野に進むべき道を切り開くことです。

この状況、振り返ってみるとジャイアントキリングが起きる条件がバッチリ揃ってました。

そして若い頃はグレイスケリーの美貌により見えなかったようですが、もうひとりの女子、ケティフラドが切なすぎる。
もうアイツの女はグレイスケリーなんすよ。だから列車を降りる理由も資格もないんです。それを自分でわかってるんです。

この登場人物の中で最も素敵。テメーの旗ちゃんと振りながらしっかり大人としての選択ができてました。
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