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ベルリン・天使の詩のiのレビュー・感想・評価

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)
5.0
ヴィム・ヴェンダースの映画において、人は常に移動する主体である。『都会のアリス』では西ヨーロッパを彷徨い、『まわり道』では西ドイツを縦断し、『さすらい』では東西ドイツの国境周辺を旅した彼は、移動しようにもすぐに壁にぶつかってしまうベルリンという街を、天使の翼をもってさすらうことを可能にした。その発想力に感嘆する。

天使たちはすべてを見、すべてを聴くことができるが、決して触れることはできない。にもかかわらず(或いはだからこそ)、どうしようもなく心が占有されてしまう。この設定は、映画のもつ〈偽りの物質性〉を表しているようだ。
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