三樹夫

インビジブルの三樹夫のレビュー・感想・評価

インビジブル(2000年製作の映画)
3.1
透明人間になって透けて見えてくるものとは?答えは男の性加害性というのがこの映画。ベーコンが己の欲望の赴くままに行動し大変な事態になる。ベーコン凶暴化は透明化の薬の副作用というか、透明化する前からベーコンは覗きしているし透明化でベーコンの本性が露わになっただけ。コロンビアも大金かけてSF透明人間痴漢映画作るとか何を考えていたのだろう。ベーコンが同僚の胸を揉むシーンはCGなのだが、こんな無駄でアホなCGの使い方はそうそう見れない。しかしこのSF透明人間痴漢映画は日本では何回かTVのゴールデンで放送されるという、2000ゼロ年代もまだ世の中はどうかしていた。
登場人物は全員アホで、最後のベーコンVSアホ集団の戦いなんて何やってるんだこいつらというコントで、バカバカし過ぎて楽しい。特にエリシューのクソ人間っぷりが、こいつ死んだ方がいいんじゃないかとすら思えてくる。なぜか炎の中に落ちていくラストが、エリシューがチンパンジーに惚れられるアニマルホラー『リンク』のラストと似ていると、まさかバーホーベンは『リンク』のオマージュしたの?と謎を残す。
脚本はアンドリュー・W・マーロウという、映画の脚本は『エアフォース・ワン』、『エンド・オブ・デイズ』とこの映画だけの素晴らし過ぎるキャリアの持ち主。書いている脚本はどれも全部雑だが、『エアフォース・ワン』はヒットしたため、『エンド・オブ・デイズ』とこの映画を任されたが案の定雑な脚本書いて、両作とも批評も興行もイマイチのため映画界から消えて透明人間になった。

バーホーベンはこの映画でハリウッドに嫌気がさしオランダへ帰ってしまった。あまりにもアホ過ぎる内容からか批評は芳しくなく、しかもあまりヒットもしなかった。またコロンビアの宣伝担当がデビッド・マニングという架空の映画記者の名前でこの映画などいくつかのソニー系の作品を絶賛する評論を捏造したことが後に発覚し、ソニー・ピクチャーズは謝罪に追い込まれたと散々。だがこの映画でベーコンはみうらじゅん賞を受賞している。受賞理由はこんなバカ映画は他から賞なんて貰えないだろうし、ベーコンは金玉出して頑張ってたからとのこと。
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