プレコップ

ハイ・フィデリティのプレコップのレビュー・感想・評価

ハイ・フィデリティ(2000年製作の映画)
3.5
2000年の音楽オタクを知るのと文句なしのサントラを聴くのに有用な作品。

ストーリーはぼやけていてキャラクターは感情移入はできないけど、音楽オタクの無駄なこだわりやうるささが表現されている。
楽器を弾けないのに人の趣味を貶すバリー(ジャック・ブラック)を観ていると、「スクールオブロック」でもなんかおしつけがましいやつをやってたなーと思えてくる。ジャックブラックは表情が豊かすぎてジャックはジャックでもニコルソンかと思った。
ティム・ロビンスはイメージと結構違う役で驚いた。

音楽オタクよりな自分には内容というよりはサントラや小道具のこだわりが印象に残る。背景のレコードジャケットをながめているだけで飽きないし、ロブの部屋のポスター(Pavement、Of Montreal、Ladybug Transistorまで!)などは普通に2000年のオルタナ解像度が高すぎてテンションが上がった。ベータバンドの「3EP」を5セット売ろうとするシーンも大好き。サントラは、キンクスやヴェルヴェッツなどクラシックロック勢からボブ・ディラン復活後の名曲、1990年代オルタナ勢(スモッグ、ステレオラボ)、そして劇中で悪口を言った償いにスティーヴィー・ワンダーまで入っていて文句なし。この映画の意匠を汲んだ素晴らしいチョイス。

白眉はブルーススプリングスティーンご本人登場シーン。劇映画としてはボスの唯一の映画出演らしいこのシーンは、音楽オタクの夢をかなえた瞬間だ。

ただ、一般的にはこの映画のこれみよがしな小ネタの多さ自体が「オタクの悪いところが出てる」感じに捉えられるのだと思う。あとは、バリーが「心の愛」はともかくベルセバまでバカにしたのにゲンナリ。そういうキャラなのはわかるけどね、、
プレコップ

プレコップ