糸くず

あぶない刑事の糸くずのレビュー・感想・評価

あぶない刑事(1987年製作の映画)
3.3
『さらば あぶない刑事』の予習というか、バブリーな雰囲気に体を慣らすための訓練として鑑賞。

テレビドラマの劇場版ではあるけども、格段にスケールアップしているわけではなく、「いつもの面々のコミカルなやり取りをより長い時間楽しめる」っていう感じかな。そういう点では、今のテレビドラマの劇場版と特に変わらない。

「製薬会社で制がん剤の開発に取り組んでいた研究員が殺害され、その裏には株価操作の疑惑が……」みたいな話なんだけど、キャストを見れば誰が悪者かすぐわかるので、ミステリー的な面白さはゼロ。しかし、タカとユージのコンビの掛け合いはよくできた漫才を見ているようで、とても楽しい。ほとんどおふざけばかりなのだけど、それゆえに、病院のベッドに横たわるタカの前で泣き崩れるユージにはちょっとグッときた。

あと、撮影が名カメラマンの姫田真佐久だけあって、夜の病院での追跡劇と銃撃戦には、いまの日本映画ではなかなか観られない艶とリッチさがあって、とてもよかった。

突然のダンスシーンやライブシーン、「恋愛していないヤツは人じゃない」みたいな空気、そして何より浅野温子の狂った演技など、けっこうキツい部分もあったので、こんな点数だけども、館ひろしと柴田恭平の息のぴったり合った感じ、アクションシーン、室田日出男の場を引き締める演技だけでも見る価値ありだと思う。
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