三樹夫

エイリアンの三樹夫のレビュー・感想・評価

エイリアン(1979年製作の映画)
4.5
この映画は女性が生理的に嫌がるものが詰め込めれている。それは何かというとペニスだ。分かりやすいぐらいにいたるところにペニスを思わせるものが出てくる。この映画の長くて丸いものはペニスのメタファーだ。エイリアンのデザインはギンギンにいきり勃ったイチモツである。それが女性の顔にニューと近づいていくのは、興奮した変態がペニスを女性の顔に押しつけているような気持ち悪さがある。リプリーがアンドロイドに雑誌(ちなみにこの雑誌は平凡パンチ)を口の中に突っ込まれるシーンはレイプだ。その前にアンドロイドが白い汗をかいていますが、これは精子ということを表している。
また顔にへばりつくカブトガニみたいなエイリアン(フェイスハガー)は女性器であり、女性器に犯され子を孕むという恐怖となっているなど、随所にセクシャルなイメージが散りばめられている。

この映画はSFホラーというジャンル分けだが、そのホラーの部分は外的な恐怖よりも内的な恐怖で生理的なものだ。気持ち悪過ぎて怖いよと、恐怖を与えてくるものが男性器と女性器だし、何でこの映画が怖いかというと観てる者も犯されてるからだ。
他にもホラーとして手堅い演出がなされている。得体の知れない存在をにおわし(におわすのがミソで姿は見せない)影を多くしてBGMは無しかあるいは控えめで不安をかきたてるような音で、場を張りつめさせ緊張を極限にまで高めて、高みきったところで破裂するようにエイリアンか、あるいは猫等(スカシもやってる)がばっと飛び出し観てる側がビクッとなるいわばびっくり箱的な演出で王道だ。
画や美術がとにかく凝っていて、白い船内ブロックでキャラがシルエットになるなどキモいなかにも美しさがある。

男性社会に抑圧されながらも(時には凌辱され)戦う自立した女性、リプリーというフェミニズムの闘士が主人公でシリーズが4まで作られるが、全作品がそれぞれ違った特色を持っていてこの第一作をリスペクトしつつも自分の色を出す、それぞれの監督の俺のエイリアンが製作されていく。シリーズの監督は作品ごとに違うし、全員出身地も違う。一作目はイギリス人、二作目はカナダ人、三作目はアメリカ人、四作目はフランス人となっている。今となっては全員有名監督でそれぞれの特徴も作品に反映されている。作品ごとの違いを楽しむのもエイリアンシリーズの魅力だ。個人的に4結構好き。3は製作話を聞くとしょうがないかなと思う。
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