がちゃん

ピクニックatハンギング・ロックのがちゃんのレビュー・感想・評価

3.8
1975年の作品だが、日本公開はようやく1986年。
監督が「刑事ジョン・ブック目撃者 」が前年公開されたピーター・ウィアー。

当時幻の作品とされていましたが、「刑事~」のヒットに引きずられて公開されたものと推察されます。

全寮制の格式高い女子校。
生徒たちはハンギング・ロックという岩山のふもとへピクニックに出かける。

そのうちの数人の生徒と引率の教師が、「地質調査に行く」と言い残したまま岩山に入り失踪してしまう。

その事件を軸にして、さまざまな悩みを抱える少女や学校側の対応などを、とても丁寧なタッチで書き綴っていく。

少女たちの生活の場である寮の描写は、通常の生活から隔離された一種異様ともいえる雰囲気。

失踪する岩山“ハンギングロック”が、場面によって表情が変わって見えるのが興味深い。
鮮やかな色彩をさけ、少しざらついた感じの画像も効果的。

いわゆる神隠しものであるが、音楽の使い方や野趣あふれる自然の描写、
繊細な移ろいを見せる少女らの心の移ろいなど、ただの神秘に終わっていないところが優れている。
天使になったといわれた失踪した一人の少女が、とても美しい。

独特のリズムを刻みながら、ちょっぴり推理サスペンスの要素も含む魅力的な作品。
おススメしますよ!
がちゃん

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