河

コミッサールの河のレビュー・感想・評価

コミッサール(1987年製作の映画)
4.4
ウクライナ内戦時の話らしく、最初はおそらく主人公が所属する共産主義の革命軍が支配してるけど、主人公の出産あたりから他の集団が支配的になる 支配する側としてのエネルギーのある前半と、出産以降の支配される側としての鬱的で少し現実離れした後半とでかなり雰囲気が変わる

出産時の心象風景を、砂に車輪とられた馬車をどうにか動かそうとする姿で現し始めたあたり、それが追い詰められた革命軍であることで罪悪感持ってるのもわかるんだけどなんか新鮮さと直接さに笑ってしまった ただ、そこで夢的な描写が導入されて以降、だんだんと主人公にとっての現実と認識がずれ始めて、ユダヤ人家庭にとっては状況が悪くなってくる後半が本当によくて、呪術的な感覚すらある

子供のままでいることと母になることが対立的に置かれていて、革命軍もそれ以外も支配者側は子供と同じ位置に置かれている 主人公は母としての役割を強制的に獲得させられるけど、その役割と現実の革命軍に参加したいっていう願望との間に乖離があって、それで現実から認識が遊離していく 最後のダンスシーンで完全に子供側になって、そのまま母であることを放棄して革命軍に参加する

ラストの白い霧を背景にした横並び歩きのシーンのあの死に向かうようなオーラを見れただけで見てよかったなと思った ザ スーサイドスクワッドにも全く同じようなシーンあったけど、なにかしらこういう構図のリファレンスがあるのかな
河