このレビューはネタバレを含みます
常に演技をしているイヴに対して、マーゴはむしろ常に演技をしていないという対比がある。そして舞台裏でも演技ができることが、それのできないマーゴたちに対するイヴの優位に繋がっている。ラスト、イヴはマーゴと>>続きを読む
大学生になりたてだった頃に好きで何度も見ていたが、今見ると全く違う形で刺さる映画となっていた。
最後に、主人公格であるピンク(ランドール・“ピンク”・フロイド)が、薬も酒もやらないというフットボール>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
本当に面白かった。生きようとするほど死んでいく矛盾、存在しているのに不在の人々、内実のために強化された形式がおき去りにする内実、破滅の先に50年近く続く今。映画の始まりと終わりにおかれた爆破は変化をも>>続きを読む
採掘者達を殺し採掘権を奪い他の人に売る強盗団がおり、保安官であるタイロン(ライトニング)は彼に早撃ちを指導した父親的存在であるダンを、ライトニングによって副保安官に任ぜられるルーク(シルバー・キッド)>>続きを読む
禁酒法が廃止されFBIが拡大したことで無法者の時代が終わる1933年が舞台。序盤、おそらく昔腕の立つ犯罪者だった主人公は刑務所で更生し恋人と普通の生活を送ろうとしているが、刑務所から出れたのはロックと>>続きを読む
実話らしい。原題は『紳士ジム』で、違法に男同士で殴り合っていたボクシングが紳士のスポーツに変化し、その中で紳士のボクシングを体現した主人公。機転をきかせて状況を自分の有利なものに変えてしまうという主人>>続きを読む
日独伊の権力者の中で、ヒトラーやムッソリーニは描かれるのに、昭和天皇は描かれないのは何故かということが理解されるような映画。ある種特殊な権力者像を描いている。権力者の認知の歪みを描くことで、歪みを齎す>>続きを読む
ディープフェイク風の映像が現実離れしていると同時に気持ち悪く、音楽も壮大な音楽が複数同時に鳴り続けるなど、異界のような感覚と不快感、何か恐ろしい予感のような感覚が持続する。
原題は『おとぎ話』チャー>>続きを読む
おそらくジャン・グレミヨンはこの映画を下敷きにして『曳き舟』を撮ったんだろうと思う。「Only Angels Have Wings」とタイトルにあるように、翼を持たない人間達が会社の存続をかけて命懸け>>続きを読む
初ハワード・ホークスだったけど選択ミスったかもしれない。そして翻訳が割と酷いバージョンを見てしまった。
未完成の恐竜の化石を完成させ、結婚することに人生のゴールが決まっている主人公が、映画の作り手と>>続きを読む
『バルタザールどこへ行く』が好きだったため見た。バルタザールの内に閉じ込められた気持ち悪さ、べっとりした情念みたいなものが漂白されている感じがあり、それはタレ目で白目のほとんど見えないロバを使っている>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
『中国女』公開後、ペネベイカー社の主催で行われた、アメリカで映画を学んでいる学生や先生達とゴダールの質疑応答。原題である『Two American Audiences』は『1AM (One Ameri>>続きを読む
『群盗、第七章』の発展のような映画で、実際の出来事を比喩的に描いたものであり、ジョージアだけでなくフランスの歴史を組み込み、さらに体制以外の視点も同時に存在させたもののように感じる。描かれる全てが比喩>>続きを読む
溶鉱場で働く人々の朝から次の朝までの24時間をドキュメンタリー的に撮った短編で、都市映画の形式を持っている。シチュエーションと構成だけ見れば『鉱』と非常に似ている。同じ時期のイオセリアーニの作品と同様>>続きを読む
ジョージアの4つの地域での伝統的な多声合唱を記録し、紹介するという立て付けの短編。各地域の多声合唱を背景に、それぞれの地形や他の伝統を映像で見せていくというものとなっている。多声合唱はイオセリアーニの>>続きを読む
冒頭、バスク地方の言語がヨーロッパ最古の言語であること、住む人々が言語、伝統を維持し続けていることが語られる。前半はモノクロでバスク地方でのある一日が映される。トラクターなどが導入されつつも非常に伝統>>続きを読む
中世、ソ連占領下、内戦下の現代という3つの時代のジョージアにおいて群盗である人々を描いた映画。同じ役者が時代に渡って登場し、侵攻、独占、殺戮、裏切りを繰り返していく。どの役柄にも役名が与えられていない>>続きを読む
おそらくイオセリアーニが作り上げたものであろう集落があり、そこでは雨乞いをすれば豪雨が訪れ、切り落とされた首を繋げれば人が生き返るなど、魔法的な出来事が日常的に起こっている。それに対して集落に住む人々>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
冒頭の妄想オチがあることによって、この映画全編が基本的なコミュニケーションのできないまひろの、普段触れている日常系アニメやアクション漫画を元にした妄想だという可能性が残る。実は自分は体術が凄くて殺人で>>続きを読む
パリの都市生活を映した映像に『四月』のようにアフレコで音が重ねられている。タイトルに7つの断片とあるが、6つの断章で構成されている。2つ目の断章から始まり、6つ目の後、1つめの始まりを示すショットで終>>続きを読む
労働者に関係する政策の失敗、それに伴うデモによりヴァンサンは大臣を辞任し、地元のコミュニティに帰る。おそらく、抗議デモによってエドゥアルド・シェワルナゼが辞任した2003年のジョージアでのバラ革命が発>>続きを読む
非常に緻密に組み上げられたパズルのような映画。所与の関係性が出来事によって段々と変化していくという内容で、それがルビッチやウェス・アンダーソンのような軽く心地よいリズムと展開によって描かれている。イオ>>続きを読む
トスカーナの外れに修道院があり、5人の修道士がおそらく古くから伝承されてきただろう宗教儀式を毎日繰り返し、宗教画や書物の修復と維持を行っている。教会や修道院は街から孤立した場所にあり、教会の大きさに対>>続きを読む
フランスの古城、所有者といとこを中心にマハラジャ、べん髪のベジタリアン集団、飲んだくれの神父など様々な民族を含んだコミュニティが築かれており、親密なようで嫌いあってもいるような関係性、独自の奇妙で自由>>続きを読む
かつて複数の民族、宗教が共存していたジョージアがなぜ内戦へと至ったのかという問いが冒頭におかれ、紀元前からこの映画の編集完了時点である1994年に至るまでの歴史が語られる。
『四月』でのベランダ越し>>続きを読む
近代的な時間から、ジョージアの農村の殆どユートピアのような時間へと移り、また元の生活に戻る。演奏家達は既にその農村の外に暮らしていて、一時的な滞在によって農村に暮らす人々と共に音楽が奏でられるようにな>>続きを読む
ソ連のジョージア侵攻が1921年の2月15日から3月17日らしいので、タイトルはソ連の占領下となった1921年の4月を指しているんだろうと思う。
ジョージアの家が、ソ連の作業員によって作り替えられて>>続きを読む
ジョージアの山岳風景が映される。そこに咲いていた花が「珍しい花」という商品として温室で人工的に育てられている。温室で育てられた花が、おそらくジョージアのものではない音楽に合わせて踊るように映される。そ>>続きを読む
労働と家事に明け暮れる妻、飲んだくれる夫。疲弊した家庭を追い詰めるように鳴り響くスピーカー。妻の金を盗んで逃げた夫はギャラリーに辿り着く。夫を追うのは妻であり、ソ連によって強いられた近代的な生活でもあ>>続きを読む
パルプ的な映画に見せつつも非常に作り込まれた映画のように感じる。『ジュデックス』にあっためちゃくちゃかっこいいと同時にチープっていう独特の感覚がこの映画にもあり、それが非常に好きだった。
死期を迎え>>続きを読む
スタッフロールの代わりにサッシャ・ギトリが全員の名前を呼びながら俳優やスタッフに感謝してる映像が冒頭に差し込まれており、それによってこれが作られたものであり、演じられたものであることが明示される。>>続きを読む
機械に吊るされた自殺体、横に動く機関車、逃げる男を捕まえるようにカメラに近づく男達など、モンタージュだけでなく各ショットがめちゃくちゃに強く、演出のボキャブラリーの多さがすごい。絶対に情報量を落とさな>>続きを読む
この監督特有の不安定でくぐもった映像の感覚が最高に良く、一気にフィクショナルなクライマックスに雪崩れ込むところも最高でめちゃくちゃに好きだった。
ヴィクトルがコメディアンととして登場するが、画面は何>>続きを読む
めちゃくちゃ面白かった。エレベーター、卓球、コレクション、全演出が洗練されていてすごい。『エドガールとキャロリーヌ』にあるようなズラしや外しがなく、ジャック・ベッケルはキャリアの初期に既に完成されてい>>続きを読む