映画的偶然の結果、主人公であるエディとジョーンは序盤に示唆される結末へと運命のように向かわされていく。二人の辿る運命は既に脚本として書かれ、決定されているから、この映画の中で二人は自由でない。
死に>>続きを読む
noteに書きました
https://note.com/keikotozine/n/nd228b773596b
映像が立ち上がってきて音楽が乗ってきて、ここから最高の瞬間がくる...!って思わせての中断、という寸止めが繰り返された果てに、最後に最高のカタルシスが訪れてスパッと終わる。気持ち良すぎる映画。
恋愛>>続きを読む
信じたい物語を提供し、その物語世界の中に閉じ込めることで金を搾り取るシステム。主人公は擬似医学による美容整形にハマる母親と対応している。主人公はこれまでは冴えないが実は映画の主人公であるという妄想に囚>>続きを読む
オシャレの叔母の過去が劇中映画として上映されるが、ここでオシャレとその友人たちは映画の観客としておかれている。オシャレの新しい母やカンフーなど、この映画において登場人物の何人かは、そのキャラクターに対>>続きを読む
孤立した城に、死刑囚の影と犯罪者を操る吸血鬼が現れる。蘇った死者である吸血鬼は蘇ることを禁じられ、影は光によって、犯罪者は機械によって殺される。そして、はじめ超自然と現実の区別がつかなかった主人公は、>>続きを読む
二者間の対話が真正面からの切り返しによって何度も捉えられる。カメラは記憶装置としておかれており、対話する二人が間におかれたカメラを見ない(スクリーン越しに観客と目が合わない)ことが、登場人物たちの過去>>続きを読む
信雄の家であるうどん屋と、喜一や銀子の暮らす舟は互いに河の対岸に位置していて、河を渡すように橋が架かっている。そして、うどん屋も舟も橋から階段を降りた場所、他の家よりは低い位置にある。河は底に2m近く>>続きを読む
『アギーレ/神の怒り』が自然=死に自ら飲み込まれていく映画だとすれば、この映画は文明を死が飲み込んでいく映画。アギーレの舟が川の流れによってのみ進み、最終的に川で旋回し続けるしかなくなったように、ノス>>続きを読む
馬車が序盤に捨てられ、馬は筏の上に佇んでいる。密林において大砲も銃も馬も、先住民を威嚇する以外の効力を持たない。アギーレがスペインに対して反逆を宣言し新たな皇帝を立てた以降は、川に浮かぶ筏を家とした、>>続きを読む
『寝ても覚めても』や『不気味なものの肌に触れる』が、川の下流、何か不気味なものが堆積し氾濫しつつある状態を扱っているのに対して『悪は存在しない』は川が生まれる場所を扱った映画となっている。
そう思え>>続きを読む
行って戻ってくるという前作の構造が、フュリオサの行動原理に反映されている。母親やジャックから機会を与えられたとき、フュリオサは前作と同様に緑の地に行こうとするが、戻ってくる。一度の大きな行き帰りを描い>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
常に演技をしているイヴに対して、マーゴはむしろ常に演技をしていないという対比がある。そして舞台裏でも演技ができることが、それのできないマーゴたちに対するイヴの優位に繋がっている。ラスト、イヴはマーゴと>>続きを読む
大学生になりたてだった頃に好きで何度も見ていたが、今見ると全く違う形で刺さる映画となっていた。
最後に、主人公格であるピンク(ランドール・“ピンク”・フロイド)が、薬も酒もやらないというフットボール>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
本当に面白かった。生きようとするほど死んでいく矛盾、存在しているのに不在の人々、内実のために強化された形式がおき去りにする内実、破滅の先に50年近く続く今。映画の始まりと終わりにおかれた爆破は変化をも>>続きを読む
採掘者達を殺し採掘権を奪い他の人に売る強盗団がおり、保安官であるタイロン(ライトニング)は彼に早撃ちを指導した父親的存在であるダンを、ライトニングによって副保安官に任ぜられるルーク(シルバー・キッド)>>続きを読む
禁酒法が廃止されFBIが拡大したことで無法者の時代が終わる1933年が舞台。序盤、おそらく昔腕の立つ犯罪者だった主人公は刑務所で更生し恋人と普通の生活を送ろうとしているが、刑務所から出れたのはロックと>>続きを読む
実話らしい。原題は『紳士ジム』で、違法に男同士で殴り合っていたボクシングが紳士のスポーツに変化し、その中で紳士のボクシングを体現した主人公。機転をきかせて状況を自分の有利なものに変えてしまうという主人>>続きを読む
日独伊の権力者の中で、ヒトラーやムッソリーニは描かれるのに、昭和天皇は描かれないのは何故かということが理解されるような映画。ある種特殊な権力者像を描いている。権力者の認知の歪みを描くことで、歪みを齎す>>続きを読む
ディープフェイク風の映像が現実離れしていると同時に気持ち悪く、音楽も壮大な音楽が複数同時に鳴り続けるなど、異界のような感覚と不快感、何か恐ろしい予感のような感覚が持続する。
原題は『おとぎ話』チャー>>続きを読む
おそらくジャン・グレミヨンはこの映画を下敷きにして『曳き舟』を撮ったんだろうと思う。「Only Angels Have Wings」とタイトルにあるように、翼を持たない人間達が会社の存続をかけて命懸け>>続きを読む
初ハワード・ホークスだったけど選択ミスったかもしれない。そして翻訳が割と酷いバージョンを見てしまった。
未完成の恐竜の化石を完成させ、結婚することに人生のゴールが決まっている主人公が、映画の作り手と>>続きを読む
『バルタザールどこへ行く』が好きだったため見た。バルタザールの内に閉じ込められた気持ち悪さ、べっとりした情念みたいなものが漂白されている感じがあり、それはタレ目で白目のほとんど見えないロバを使っている>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
『中国女』公開後、ペネベイカー社の主催で行われた、アメリカで映画を学んでいる学生や先生達とゴダールの質疑応答。原題である『Two American Audiences』は『1AM (One Ameri>>続きを読む
『群盗、第七章』の発展のような映画で、実際の出来事を比喩的に描いたものであり、ジョージアだけでなくフランスの歴史を組み込み、さらに体制以外の視点も同時に存在させたもののように感じる。描かれる全てが比喩>>続きを読む
溶鉱場で働く人々の朝から次の朝までの24時間をドキュメンタリー的に撮った短編で、都市映画の形式を持っている。シチュエーションと構成だけ見れば『鉱』と非常に似ている。同じ時期のイオセリアーニの作品と同様>>続きを読む
ジョージアの4つの地域での伝統的な多声合唱を記録し、紹介するという立て付けの短編。各地域の多声合唱を背景に、それぞれの地形や他の伝統を映像で見せていくというものとなっている。多声合唱はイオセリアーニの>>続きを読む
冒頭、バスク地方の言語がヨーロッパ最古の言語であること、住む人々が言語、伝統を維持し続けていることが語られる。前半はモノクロでバスク地方でのある一日が映される。トラクターなどが導入されつつも非常に伝統>>続きを読む
中世、ソ連占領下、内戦下の現代という3つの時代のジョージアにおいて群盗である人々を描いた映画。同じ役者が時代に渡って登場し、侵攻、独占、殺戮、裏切りを繰り返していく。どの役柄にも役名が与えられていない>>続きを読む
おそらくイオセリアーニが作り上げたものであろう集落があり、そこでは雨乞いをすれば豪雨が訪れ、切り落とされた首を繋げれば人が生き返るなど、魔法的な出来事が日常的に起こっている。それに対して集落に住む人々>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
冒頭の妄想オチがあることによって、この映画全編が基本的なコミュニケーションのできないまひろの、普段触れている日常系アニメやアクション漫画を元にした妄想だという可能性が残る。実は自分は体術が凄くて殺人で>>続きを読む