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ルート・アイリッシュのbluemercenaryのレビュー・感想・評価

ルート・アイリッシュ(2010年製作の映画)
4.1
英国・リバプール。
ファーガスと無くなったフランキーは幼馴染、兄弟同然に育った。
高額報酬目当てに民間兵としてイラク戦争を戦った二人。
先に帰国したファーガスが留置場にいた時に届いたメッセージ。
フランキー最後の言葉だった。

原形をとどめないフランキーの遺体。
不慮の事故を主張する傭兵派遣会社。
フランキーの遺品の携帯電話、残された動画とメール。
ファーガスは死の真相を追う。

何が起きてもおかしくない道路――――ルートアイリッシュ。
そこで起きた事故―――告発
対する企業論理――-謀殺?
自責の念―――追及
膨らむ狂気―――報復

戦争ビジネス。
必要悪。

そこにすがるしかない貧困層、労働者階級。
戦地で蝕まれる精神。
麻痺する常識と恐怖が引き起こした不幸な事件。

フランキーの良心はそれが許せなかった。
国家、企業の論理よりも命の尊さ。

事件を追うファーガス。
戦争で視力を失った友人を思いやる優しい正義感。

そんなファーガスの心境。
次第に膨らむ狂気。
拉致、拷問、私刑、そして最後の復讐。

英国 リバプール マージー川。
フェリーのデッキに佇むファーガス。

空虚・・・・狂気諸共、何もかもが無くなった。
虚ろ・・・・そして呟く「昔の自分に戻りたい」
その結末、誰もファーガスを責めることなど出来ない。

名匠ケン・ローチ
言わんとするところは理解できる。
フランキーだけでなくファーガスも犠牲者だという事。
国家の欺瞞の。

だけど前半と後半のファーガスの心の変化。
どこかぼやけてた。
報復の無意味さを描きたかったという意図は解ったけど。
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