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未知との遭遇のadeamのレビュー・感想・評価

未知との遭遇(1977年製作の映画)
2.0
「JAWS」が歴代最高の興行収入を記録し、20代にして映画界の頂点に立った天才スピルバーグが次作に選んだ地球外生命体との交流を描いたSFドラマ。
各地で発生する怪現象や目撃された飛行物体によって世間がざわつく中、取り憑かれたように導かれていく数人の人々の姿と、事態を掌握しようとする政府を描き、それらが美しく感動的なフィナーレへと集約されていく物語です。
前半のポルターガイスト的なシーンではホラー映画風の演出でその手腕を見せつけ、ここに狂気に陥っていく人々の姿を重ねた心理スリラー的な展開を期待させるのですが、後半にはヘリから逃れるサスペンスに幻想的な接近遭遇のクライマックスへと進んでしまい肩透かしでした。
周囲に変人と言われようと自分の信じる道を突き進む姿からは汎用性のあるメッセージを受け取ることもできますが、それにしては目玉の遭遇シーンがもったいぶりすぎています。
光と音を駆使した実に映画的な演出は確かに美しいのですが、ありがちな宇宙人の姿は見たくなかったです。
スピルバーグに大きな影響を与えたキューブリックが「2001年宇宙の旅」で400万年前と月面と無限の彼方を舞台に描いた未知との遭遇を、アメリカの郊外視点でやったらどうなるかという試みであったような気もしました。
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