アクセルガツキー

ゴーストワールドのアクセルガツキーのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
3.7
なんか…すごく落ち込んでしまった。

公開当時、ご多聞に漏れず僕もまたイーニド(ソーラ・バーチ)に萌えまくった訳だけれど…(「世界中の男は、私じゃなくアンタ(スカーレット・ヨハンソン)が好みなのよ」←そんなことないよ!こんな凡庸なブロンドなんかより100億倍魅力的だよ!そう映画館で叫んだオタクは少なくとも世界中で1億人くらいはいるだろう)
いま、シーモア(スティーブ・ブシェミ)に近い歳になって、否、追い越したかもしれない歳になって見ると、これって、端的にオタク(ギーク)の男の、妄想と理想のユートピアなんですよね。そして、そういうオタク男の身勝手な妄想が、どれだけ身勝手に「女性」を扱い、どれだけ身勝手に傷つけてきたか。

イーニドは理想であり、自分自身でもある。
仮にハスに構えて批評的な距離を取っていたとしても、その仮想に託した自己憐憫と屈託した自己愛から免れることはできない。
あれから…わたし達は、否、私は少しも成長していないんじゃないか?

世界は、変わったのにね。
(自己憐憫と屈託した自己愛の作る紙と電波の塔の居心地はすこぶる良く、世界に毒づきながら内心では他人事でいられる。それを、アイロニーと呼ぶ。世界の中で最も変わらないものだ。
多くのサブカル者や、あまつさえアカデミックな専門家達がこのアイロニーに今もなお安住している、いや、むしろそれが強固になっていることに僕は自己嫌悪し、正直言って…吐き気を覚えたのだ)

ただ、この暗黒舞踊のように顔を白塗りに、細い眉を描き、こけしのように頚が長く緑色の瞳の少女が、圧倒的なスターの輝きを放っていたことには、疑いを容れない。わたし達が自己憐憫と自己愛を投射したことと、その才能とは関係ないことだ。
まだ、40歳だそうな(2023年時点)。ソーラ・バーチ、成長した姿を見せて欲しい。
結局、萌えてんじゃねーか…