「世間はビックマックとNIKEで満足してる」という世界に溶け込めないティーンを音楽オタクやエセ現代アーティストの教師など、大人になっても理想の何かにはなれていないけどモラトリアムを過ごしている大人たちに囲まれながら、バスに乗ってどこかに消えてしまう話。
この物語に引き画が全然出てこなくて閉塞感のある拗らせたティーンの狭い世界がよく表現されていたんだけど、落ちてるジーンズとかバスを待ってる男とか数々のモチーフが出てくることで、観客の我々はその街がどんな風になっていて、彼女たちが今どこにいるのかを見失わずにすんだ。
演出によって場所性はいくらでも伝えることができる。
スカヨハのやっていた役がむしろ観客の多くに当てはまる人物で、イーニドと同じように社会に対して理解を示さないが、自分を騙しながら働くことで徐々に社会生活に馴染んでいき、いつのまにかそれが本当の自分と感じるようになっている。
冒頭の2人から醸し出されるムラっけやイラつきはもうこの映画が終わる頃には見られない。それがすごく寂しかった。
バスはイーニドにとって良い場所に辿り着くといいな。