ふくやま

ゴーストワールドのふくやまのネタバレレビュー・内容・結末

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

明るい街と雰囲気でこの映画は始まる。楽しくて洒落た映画なのかと最初は思った。

親友のレベッカとイーニドは、基本周りの人達を小馬鹿にして日常を過ごしている。それが実際、見ていて面白い。しかし、そんな気楽に無責任に生きていられるのも時間のうち。社会に出ると自立や責任などといったものがまとわり付き、時には自分を押し殺すことが必要な、新たな生き方を迫られる。物語は、2人のそんな子供と大人の変わり目から始まる。
レベッカはそんな大人の世界に順応していくのだが、イーニドはとことん重症で、自分は他とは違うという自意識からなかなか社会に馴染めず。その上、彼女からするとずっと一緒だと思っていたレベッカが大人の世界に適応していくことで、どんどん離れていくように感じてしまう。そんな折だからこそ、最初はバカにするつもりで絡んでいったおじさんに彼女は興味を持ち始め、次第に惹かれていく。社会にあまり馴染めていない彼に彼女はシンパシーを感じたからだ。イーニドは彼に、自尊心からか相変わらず小バカにするような態度を示しながらも、自分が感じる孤独を紛らわそうと彼に積極的に近づいて、次第に彼に依存する形に近い状態にまでなってしまう。しかし、そんな彼も彼女が出来て、イーニドにつきっきりでいることも出来なくなる。そこでまた彼女は孤独を感じていくのだ。。
それが見ていて痛くて辛いのだが、この映画、面白いのがこれを可笑しく描いているところ。冒頭からコメディチックでポップにテンポ良く話が進むのだが、見ているうちに段々と彼女は追い詰められていく。

ラスト。ゴーストワールド。直訳すると幽霊の世界。多分、彼女は最後、彼女が望んでいたように、なにも告げずにどこか遠い場所に行ったのだろう。確かにこの世界には存在しているが、社会の一員としては消えていくのだろう。だから、幽霊。でも、決して暗い未来が待ち受けているとは限らない。この映画の中で唯一描かれている夜の街でラストは終わる。夜が明けるように朝は来るのだと信じたい。
ふくやま

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