ぷん

ゴーストワールドのぷんのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
5.0
昔の音楽やファッションが大好きなイーニド、高校を卒業し働く意思はあるのだが音楽オタクのオヤジに恋をする

2015/3/28から再鑑賞

大学生の頃、めちゃくちゃ刺さった作品
映画館で見れる機会があったので頑張ってかなり無理して見に行った

大人になって改めて見ると色んな側面がある作品だということに気づく
父親の新しい恋人のこと
高校卒業後の仕事のこと
レベッカという親友のこと
音楽オタクのオヤジ、シーモアとのこと

そしてその全てのことに逃げ場がなくなっていき、最後は街を出ていくというストーリー

学生の頃、イーニドに共感してはいたが
浅い音楽を聴いてる大衆を見下していた、という目線はなかった(イーニドがそういう描かれ方はしてないと思うが)
どちらかと言うと、「良い物は長い間愛されるのだから、どうせ死ぬのなら、なるべく良い物に長い間触れていたい」という意識にあり、
大衆の音楽が好きな人は社会の中に上手く溶け込めるので、個人的にはそういう感性は羨ましいと思っていた

それは音楽オヤジ、シーモアも全く同じ境遇だったと思う、歳を取って誰とも馴染めないような音楽や骨董品を収集することが恥ずべきことだと自覚しており
自覚してるが集めてしまう、そして馴染めない、しかし人と馴染みたい、愛されたいという矛盾した気持ち

シーモア気持ち悪いおっさんなのに、後半になるにつれてどこかセクシーで男性の魅力に溢れるように見えるのはなんなんだろう

レベッカという親友は気は合うが、しっかりと未来を見通し着実に大人になる準備をして、今を生きてる女性として、イーニドと対局の女性であるのが,親友という存在から、よりイーニドを孤立させてしまうのも非常に良い

2000年頃って、みんなの枠から外れるやつは変な奴、みたいな風潮があり
古着やレコードが良い物とされるのは本当につい最近になってからで、
フィルムカメラや80年代オマージュの音楽とかが一般に受け入れられている現代との許容の狭さを凄く感じる

改めて見ても傑作だった、非常に芸が細かく、20年以上前の作品だと思えない
ぷん

ぷん