熊太郎

あした来る人の熊太郎のレビュー・感想・評価

あした来る人(1955年製作の映画)
3.9
ちと期待しすぎた感あり。

役者陣の魅力はいちいち凄いが、原作によるものなのか、エグゼクティブな男性性への楽観が鼻についた。苦味を噛み締めたつもりでおじさんホントはなんにもわかっちゃいないくせに…!と最後やっぱり思うた。ぷんすかしてしまうぜよ


「逞しい男」とか「優しい妻」とかいうのは選択された仮構だろう。社会的に優位だからこそ、逞しくもなれるのだし、社会的に不自由である立場がこれ以上わるくならぬよう、女は優しさを戦略とするのだから。


おとことおんなが暮らすことで蓄積する噛み合わなさ、からだの疎外、孤独な熱の匂いをたっぷり内にこめた月丘夢路がすごくよかった。ギリギリのところで外に露呈させない寸止め演技。
ゆえに「ホラ 涙が出ます」の理性が胸にくる。

三橋達也のかわいげはあいかわらずで、よくも悪くも幼年性と男性性を矛盾なく同居させている。

カジキ研究者に三國連太郎。
無邪気な優しさでもってオンナを飼い殺しにする社長に山村聰。
新珠三千代の演技の振り幅もよかった。酔っぱらってジュースをストローで飲む身振りが可愛らしかったす。
熊太郎

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