Sally

超劇場版ケロロ軍曹2 深海のプリンセスであります!のSallyのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

すごく好きな作品 以下は考察

メールが歌った曲の歌詞
「ゆめゆめ巡る 青い命は
 ゆらゆら眠る 最果ての海
 風もなく 星もない
 暗闇に 迷っても
 泣かないで 夢見れば
 いつかは 帰るよ」
これがメールの記憶にかすかに残っているということは、昔メールが住んでいたマロン星で聞いた曲であるとわかる。海底に住むメールとマールの状態はまさに「最果ての海」に「眠る」「ゆらゆら巡る青い命」である。海底は「暗闇」で、「風もなく」、帰る「星もない」。ここで地球の数ある場所の中でメールとマールが海底にいる理由は、海底が2人の孤独の象徴として描かれているからであるということがわかる。
一方、夏美の記憶から作られた時間の止まった世界は、夏美が迷子になっていた瞬間で、夏美の感じた孤独の象徴であると考えられる。つまり、その世界が海底の中にあるということは、メールとマールは、彼らの孤独(海底)に夏美の感じた孤独(デパート)を閉じ込める、つまり互いの孤独を孤独で埋めようとしていたということが言える。
メールとマールには両親といた記憶がなく、子供のように、寂しさを埋めるには物理的に愛する人を離さないようにするしかなかった。メールとマールはその少年性の上に力(軍事力、心情操作等の技術)を持っていたので、夏美を物理的に引き止めるのは容易ではあった。メールの形が変形した際胸のあたりに夏美が張り付いていたのも、メールのところに夏美を留めるという心情の描写であると考えられる。
しかし、夏美の記憶に残る、夏美が迷子になったデパートが破壊されるシーン。このデパートは上に述べた様に夏美が孤独を感じた象徴として描かれていて、その破壊は母親の日向秋が迎えに来たことによる安心感を描写している。
夏美が洗脳状態になっている時は、メールの孤独と夏美の孤独とがお互いを慰め合っている状態で、アパートの破壊によりその安心感を思い出した夏美は帰る場所があることを思い出す。そしてその安心感により洗脳状態から抜け出す。そしてメールの元から夏美が離れた(メールの胸から夏美が脱出した)とき、メアボールが彼の心情とシンクロし暴走を始める。この暴走は愛する人が自分の元を離れて発生した、行き場の無い激しい孤独感を表す。
そこに、マールがメールの元へ取り込まれてしまう。マールはケロロから自分がマロン人である、マロン星という帰る場所があるということを知ったので、メアボールとメールの元に取り込まれたことにより、マールもシンクロしてその帰る場所があるという安心感がメールにも伝わったのか、メアボールが爆風を取り込む様な様子となり、その後メアボールは爆発する。これはアパートの爆発と同じ様に、メールとマールの孤独感の破壊の描写であると考えられる。その後地上に出たということ、突如夏美達の家が現れたのも、海底、懐かしい街という孤独の象徴からの逸脱を示すものだといえるだろう。
メールと夏美は、時に恋愛的な愛として描かれていたが、恋人としての愛は、家族愛の次に新たな帰る場所を作り出す要素となる。メールの孤独から引っ張り出すのは夏美だったが、その際メールは「離して」と言い、メールとマールが作った新たな居場所、夏美との新しい愛に心残りがある様に感じるが、形は恋人の様であったが親のような安心感としての役割を持っていた夏美が、「みんなでうちに帰るの!」と2人をメアボール(激しい孤独の心情)から引っ張り出す。メールとマールは力は持っているものの考え方や心の状態は未熟で、海底で彼らと過ごした夏美は、昔と自分と照らし合わされるメールを見て、2人にはまだ親の愛もしくは自分を助けてくれる存在があるなら、それがまだ必要であると感じたのだろう。地上に上がってからメールとマールが心残りを示さなかったのも、帰る場所があるということを2人がメアボールから脱出する際に実感できたからであると考えられる。考察は以上。

…しかしメールとマールがマロン星に帰る時に感じる寂しさは異常すぎる、これほど短い時間でこれほど愛着を湧かせる演出はすごい
一度、(海底散歩のシーンで)表面的に見ると恋愛的な一体化を図ったメールと夏美が、別れる時は家族離れの様である。メールとマールが孤独感を克服し帰るべき場所に帰ると考えると、無意識ながら、やはり親の様な目線で切なさを感じる。しかし、同時にメールとマールが恋愛的に繋がりそうなのを見るとどうしても胸が熱くなる。
あぁ、すき
Sally

Sally