鹿江光

サラの鍵の鹿江光のレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
3.4
≪68点≫:闇を忘れるな。
ホロコースト・迫害の中で生きたひとりの少女の生涯。歴史の中に姿を消した少女の閉ざされた人生を、現代から蘇えらせる。時代が交錯しながら、話が進んでいく作品は良い。面白い。
あるひとつの命が新しい時代の命に受け継がれていくシークエンスも心が動く。
「そうするしかなかった」という事実に苦しみ、とことん闇に堕ちていく。こういう個人の歴史が数え切れないほど存在していると思うと、もうどうしようもない気持ちになる。
苛酷なシーンが多いが、それと同じくらい幻想的で美しいシーンもある。小麦畑を駆けるシーン、水浴びのシーン、海辺に佇むシーン、美しいけど、隣には常に闇がある。
サラの子ども時代を演じたメリュジーヌ・マヤンスが可愛かった。
鹿江光

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