スギノイチ

釜ヶ崎極道のスギノイチのレビュー・感想・評価

釜ヶ崎極道(1973年製作の映画)
3.5
『仁義なき戦い』と同い歳であるこの映画は、全く正反対の形で“任侠”から脱出しようとしていた。

元々、任侠映画のパロディ的な性質が強かったこのシリーズを、さらに重層的にパロディ化しているので、意図的に、且つ大袈裟にシリーズのお約束が繰り返される。

島村親分は隙あらばトンボを斬り、山城新吾は悪乗りしまくりで終始テンションが高い。
「勝プロ!あんなもん目やないで!」と、島村親分が「若山富三郎」を一人二役でスカウトする。
芸者をスカウトするシーンでは、「近頃は何でもポルノポルノ、芸よりは肌を見たがるお客さんが多くて…」と、東映本山さえ揶揄させる。
エロもメタもパロもやりたい放題だ。

逃げる渡辺文雄の尻をズバンと撃ち抜き、1作目のセルフオマージュで締めたことで、最終的には自己完結に終わってしまった。
『鉄砲玉の美学』同様、『仁義なき戦い』というモンスターの陰に隠れた異色作。
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