「デッド・レコニング」と聞くとつい本作のことを想起してしまうロメロ信者は自分だけではないと思いたい。
本作の企画が動き出した時につけられたタイトルがデッドレコニングだったのだが、途中でランド・オブ・ザ・デッドに変更され、「➖レコニング」は劇中登場する特殊装甲車輌の名前として残った次第。
このデッド・レコニング号、対ゾンビとしては明らかに効率悪いミサイルを積んでたり(ストーリー上の要請なんだが)なかなかに厨二心をくすぐる仕様で、特筆すべきは打ち上げ花火(!)車体上部から上がった花火にゾンビたちが見惚れている、そしてその隙に掃射を喰らってバタバタ倒れていく美しく物悲しい場面だけで元を取った気分。
映画全体としては、いつもより予算が多くてはしゃいでしまったのか、やりたいこと入れ過ぎてとっ散らかってたり、寓話性を強めた結果ゾンビアポカリプス後の世界なのに城塞都市の中では貨幣経済が存続してたり(独裁者デニス・ホッパーは最後金持って逃げ出そうとする)と、色々首を傾げたくなる点も多いんだが、しかしやっぱり労働者階級を象徴するゾンビ集団が(貧者を食いものにしてきた)富裕層どもに襲いかかり食い散らかすところ、そして襲撃が終わった後、貧乏人間たちは食われずに生き残っているという場面には「ええ加減にしなさい」と突っ込み入れつつもニッコリしてしまうのであった。
おまけ:レグイザモも言ってたけど、貪り食われて苦しむのはごめん被りたいが、腕とか甘噛みされてからどこかに隠れてゾンビになるのを待つっていうのはあの世界では悪くないかも。