こぅ

黙って抱いてのこぅのレビュー・感想・評価

黙って抱いて(1959年製作の映画)
-
「あなた 態度が悪いわ

放っとけ
うるさい女はご免だ」

アラン・ドロン追悼、
DVDこぅ入10ヶ月越し開封鑑賞の巻〜。

アランとベベル*の初共演作で、'63年日本公開、マルク・アレグレ監督による、
【フレンチ・サスペンス(・コメディ)】。


パリのヴァンドーム広場にある宝石商で起きたエメラルドの強奪事件。
18歳の美しい孤児ビルジニー(ミレーヌ・ドモンジョ)は孤児院から何度も脱走するという経歴の持ち主。
友達のオルガ(ベアトリス・アルタリバ)と逃げ出したところを、不良仲間
のルル(アラン・ドロン)達と知り合う。
しかし、知り合った経緯のせいで事件に巻き込まれてしまう。
捕えられ警察署にいるビルジニーに、刑事のジャン・モレル(アンリ・ヴィダル)は身分を隠し近づく。
やがて2人は…。


★脚本
冒頭、
連続強盗事件の一幕。
ボン・パストゥール教護院から抜け出し、サーカスでショーをしていたビルジニーは、教護院に連れ戻される。

ビルジニーは、
その日の夜に組んだオルガとまた早速脱走。
オルガと同行したのが運のツキ⁈

オルガの彼氏で、
チンピラのリーダー、ルルと対面するも3人は盗難車で警察に追われ、、
警察署でジャン刑事を犯人と勘違いしたビルジニーは、彼に惹かれる。
ジャン刑事は、
それを逆手に取り、相棒のジェローム刑事(ダリー・コール)と組んだ秘策を思いつく、、

ジャンルも主要キャラ提示も導入も簡潔でグイグイ引っ張る。

宝石泥棒→写真家ラファエル
と、
ビルジニー→オルガとその仲間→写真家ラファエル
が、カメラの密輸 を軸に上手くリンクする。
そこへ、
捜査としてビルジニーに絡んだジャン刑事が絡むという 三つ巴展開 のテンポが頗る良い。
また、
ジャンの相棒、メガネのジェロームも中々良いヤツだったり印象を残す。
各キャラ立ちも良い。

ジャンは、
自分は刑事だとカミングアウト、騙された事にキレるビルジニー。
しかも刑事が淫行⁈扱いされ、起死回生とお互いの利にある 契約 を結ぶ、、

ビルジニーは、
善と悪、両方に首を突っ込んでいる のが本作の面白いところ。

終盤、
ジャンは、密輸カメラを利用してビルジニーにある 掛け をする。
泳がせてラスボスを突き止めようと、、

クライマックスは、
捕らえられたビルジニーとオルガを助けに向かうジャンと協力するルル。
軽い銃撃の見せ場も有る。

ラスボスの死に際の 的外れな台詞 に注目だ。


エンタメの予定調和らしく、邦題の台詞で締める。


★総評/撮影/キャスト
アラン追悼に、
ベベルと初共演に、ヒロインがミレーヌというキャスティングの魅力だけで高を括って観始めるも中々侮れなかった。
若干ユーモアも入っているとは言え、芯はしっかり倒叙式の クライム劇/硬派 として成り立っているので飽きない。
これは、
幾重にも重なる、言わば、巻き込まれ型サスペンス のジャンルと言える。
ご都合主義もコメディ・ジャンルとテンポの良さでカバーしているし、銃撃やカーチェイスと肉弾戦もそれなりに備えている佳品。

撮影は、
【恐怖の報酬】、【悪魔のような女】のアルマン・ティラールで、陰影/ライティング共に絶妙。

ミレーヌ('22 12/1死去)の
下着姿サービス有りと何より画面を明るくする 明朗活発 なキャラで魅力全開!

ベベル('21 9/6死去)は、
アランより役割少なめ、可愛い感じでスター性(三枚目)はまだ感じられない。
ただ、ピエロ という役名が何とも。

アランは、
やんちゃ/小チンピラ役が板についていて、役どころ/活躍も意外に多く、翌年の【太陽がいっぱい】の主役抜擢に繋がった きっかけ⁈ と想像すると頷けるし、重要作 という位置付けだろう。


いきなりのビンタレベル★★★★☆


*注記
2回目の共演は、11年後の【ボルサリーノ】にて。
こぅ

こぅ