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霧の中の風景のwtson322のレビュー・感想・評価

霧の中の風景(1988年製作の映画)
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人物や出てくる物の色をよく観る。欧州特有の、またはこの時代特有の、単色な空と地面。石の風土だから、のっぺりせずに乾いた空気感を与える。そんなベースの色に塗られていく色は、少ないながらも重ねられることで重みを増す。
母から離れ、父を追い求める姉弟と道中で出会う”大人”たちは、結局彼らに寄り添えない。終着点となる大きな一本の木は、それまで積み重ねてきた色と重みを全て受け止めるようでもあり、跳ね返してしまうようでもあり。それでも手を握り前を見据えて進んでいく2人を、見守ることしかできない。
時間と物体を自在に操る監督の手法に驚嘆です。黄色い人が気になった。オールブラックファッションにおける差し色的な。
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