霧の中の風景の作品情報・感想・評価

「霧の中の風景」に投稿された感想・評価

すごいものを見たことだけは分かる。でも自分の器が10だとしたら、この映画はそれを遥かに超えて私の頭では追いつかない感覚。

雪が降ると子ども2人の世界。死のすぐそばに踊り。言葉を省いて伝わってくるものがあらゆるところにありました。
えり子

えり子の感想・評価

4.5
皆さんがお書きになっているように、映像美であり造語ですが映像詩ですね。
父親に会うためにドイツに行く姉、弟。
日本の「山椒大夫」ににた設定でした。
アレクサンドロス少年が優しく健気で抱きしめたくなった。
心優しいゲイの青年が巨大な人間の手の彫刻が海から引き上げられるのを見て「私が叫んでも天使達の誰が答えるだろう」と言いアレキサンドロス少年がそっと彼の手を握りしめるしーん、よかったわ。
不自然で幻想的なアンリアル描写に差し込まれる、不気味な生々しさ。過剰に長い無言。ゴールの不明瞭な旅路。失われゆく無邪気さ。報われない無知。
上旬

上旬の感想・評価

3.7
【第45回ヴェネツィア国際映画祭 監督賞】
ギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス作品。母子家庭に育つ姉弟がまだ見ぬ父を探してドイツまで行こうとする。

金も持たずに行こうとするので上手くいくはずもなく、トラブルに見舞われながらなんとかもがく。

彼らが出会う欺瞞、裏切り、そして善意。劇団の青年の善意が哀しく切なかった。

海からヘリコプターで持ち上げられる巨大な手はフェリーニの『8 1/2』を思い出す。

もっと劇的に、悲惨にできそうな話なのに引いた長回しのカメラがあくまで客観性を保つ。

ラスト、あれは現実の光景なのだろうか。銃声は果たして…
T

Tの感想・評価

4.2
説明が少なく、分からないシーンも多いが、分からないなりに心に積もってくれる素晴らしい映画でした。画として素晴らしく綺麗だからでしょうかね、、、

特に印象に残ってるのは、青年に仕事を聞いた時、「人を笑わせる、泣かせる、難しいんだ。」と。
ただ演劇だというのではなく婉曲的に答えただけではあるのですが、素晴らしいシーンでした。
幼い姉弟の父親探しの旅が、夢物語の様に展開する映画。

南欧の冬の空気が肌身にしみる映画でした。
Mononoke

Mononokeの感想・評価

4.2

他の映画監督とは明らかに一線を画す夢現で物哀しくなるほど暗澹たる映像美に、セリフ説明などほとんどなく詩的で難解とも言われることの多いテオ・アンゲロプロス監督作品ですが、今作はキャリアの中では最もわかりやすいんじゃないかと思う。

ストーリー自体も幼い姉弟が会ったことのない父親を苦境に陥りながらも国外まで探しに行くというシンプルな内容だし。

だが、やはりストーリーよりも曇天の鉛色な空から降る真っ白な雪、寒々しい雨に濡れた灰色の路面、夢か現かぼんやりとした幻想的な霧の中の風景だとか、全ての場面のどこを切り取っても名画のごとく色褪せることのない圧倒的な映像表現かと。

改めてこの監督は唯一無二の存在だったと思う。
台詞が少ない。
台詞で説明せず、画で語る、映画的な映画でした。

不必要とさえ感じる長回しや、対象を映したり映さなかったりすることによって想像力を掻き立てられるカメラワークが独特。
引き画ばっかりで寄り画がないのも、人物の表情が伺えなくて想像を誘っているのかも?

ラストが意味深なのも想像の余地が残って良い。
ギリシャのお国柄とか時代背景とか全く知りませんが、ロードムービーの良いところは知らない国の知らない街を旅したような気分になれるところなので、知らなくてダイジョブダイジョブー
会ったこともない父親を探して、2人の姉弟がギリシャからドイツへと旅をするロードムービー。

異常に評価高いから前々から気になってたけど、これは予想を遥かに超えるすごい衝撃作。作中何度も放心状態になったし、観終わった後もあまりの完成度の高さ、衝撃の大きさにしばらく呆然としていました。

お金も持たず、目的地も遠く定かではないという、絶望的な旅路の中で、救いはあれど子供たちが色んな経験を重ねていくほどにやるせない気持ちが増していきます。

絶望感な旅であることを暗示しているように空は決して晴れることなく、終始どんよりとした空気なんですが、ギリシャの田舎町なのか、あまり見たことのない風景や建造物たちに好奇心がそそられるし圧巻の映像美です。また、とんでもない長回しの連続に目が離せません。
一人旅

一人旅の感想・評価

4.0
第45回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞。
テオ・アンゲロプロス監督作。

12歳の姉ヴーラと5歳の弟アレクサンドロスは、未だ知らぬ父を探し求めてアテネ発ドイツ行きの列車に乗り込む・・・。

姉弟は旅の途中で様々な現実社会を目撃、経験してゆく。
例えば、お腹が空いたアレクサンドロスが食堂の親父に
「お腹が空いた。何か食べたい」と訴える。
それに対し親父は「金はあるのか?」と答える。
「お金は無いけどお腹がすいた」と答えたアレクサンドロスに対し、
「食べたければ机の上を片づけてくれ」と親父。
幼い子どもが旅に出たことで初めて学ぶことができた労働と対価という社会の仕組み。

他にも、人が良さそうなトラック運転手による、姉ヴーラに対する余りにも残酷な行為。
皮肉にも、その行為によってヴーラは女性としての経験と知識を積んでしまう。

息絶えそうな馬と、その後方で浮かれ踊る人々。
このシーンでは生きる喜びと死を同一の場面に納めている。

この作品で描かれる現実の多くは残酷で悲観的だ。特に、二人の幼い子どもにとっては耐えがたいものがある。でも姉弟はどんな障害に直面しても旅をやめることはない。
過去の残酷な体験を、逆にそれを受け入れ、利用してやろうとするヴーラの姿はもはや哀しいほどに大人だ。
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