サーフ

ハンバーガー・ヒルのサーフのレビュー・感想・評価

ハンバーガー・ヒル(1987年製作の映画)
3.5
戦争によって生み出される狂気性を描いた映画、というよりは戦地で戦う人間がただただ疲弊してゆく様を描いた映画といえる。

「ハンバーガーヒル」と呼ばれるアシャウ渓谷にある丘を舞台に繰り広げられる攻防。そこにドラマチック性は皆無でただただ丘を攻めては下りて、攻めては下りての繰り返し。

同じ事が繰り返される戦いの中で疲弊し1人、また1人と斃れてゆく兵士。
ここで感じるのは戦争の無意味さであり、目的が見えてこない戦いに対する空虚感。
相手側の兵士がそこまで画面に出てこないあたりも兵士たちの「俺たちは一体なにと戦っているのか」感が伝わってくる感じ。

前半は何気ない会話であったり、現地の女性にちょっかい出したりと戦い以外の彼らの戦地での様子がクローズアップされる。その中で敵の急襲が起こり一気に物語に死の匂いが漂い始める。

彼らの何気ない日常。その日常を断ち切る銃撃戦。生と死を強調しているあたりは北野武監督作の「ソナチネ」っぽい構成だな感じた。

知っている役者はドン・チードルぐらいしかいなかったが、彼らの無名性がこの映画をよりリアリティのあるものに昇華している。
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