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ハンバーガー・ヒルの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ハンバーガー・ヒル(1987年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
ベトナム戦争中の1969年、アメリカ軍の新兵のラングイリは激戦地の937高地、通称「ハンバーガー・ヒル」に進攻する空挺師団に配属され、部隊の上官に指揮のもとに進軍していた。部隊が937高地に近づくにつれ、戦闘は激化して次々と兵士たちは死亡していく。

◆感想◆
ベトナム戦争の激戦地937高地でのアメリカ兵たちの奮闘を描いた作品であり、ベトナムにいる兵士たちの姿を描きながら、アメリカ本土での反戦の流れが兵士たちの耳にも聞こえてくる様子を描くことで、複雑な状況の中で兵士たちが戦っていたことを実感する作品となっていました。

ストーリーとして前半はラングイリたち新兵が部隊でのしきたりを知ったり、ベトナムでの娯楽を描いたりと戦いに入っていないときの兵士たちの日常を描いており、緩い雰囲気でストーリーが進んでいきました。

しかし、ストーリー後半になると、ジャングルから937高地へ戦闘が続いていき、常に銃弾が飛び交う緊迫感と悪路の中で進軍に苦戦する兵士たちの疲労感が伝わってくる重い雰囲気にストーリーは変わっていきました。

本作の特徴として、アメリカ兵士たちから「本国のため」という意識が感じられなかったことにあり、兵士たちの中でも何のために戦っているのか曖昧であるように思いました。最終的には「仲間のため」という意識が残っていて、彼らの戦いが決して本国では評価されないことが悲しく感じました。

タイトルである「ハンバーガー・ヒル」937高地の戦闘は急坂と泥で足をとられる下から攻めるには圧倒的な不利な場所であり、上を陣取る北ベトナム軍によりアメリカ兵たちは次々と倒れていきます。この映像が見るからに血生臭くて、多くの死体が積まれる坂を兵士たちが上っていく姿はとてもリアルに感じました。

本作はベトナム戦争の是非を問うものではなく、ベトナムに散ったアメリカ兵たちへの敬意を払う目的のものであり、その点で兵士たちの等身大の姿がしっかり描かれていて良かったと思います。

鑑賞日:2024年2月7日
鑑賞方法:CS WOWOWプラス
(録画日:2023年3月6日)
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