あるぱか

007/カジノ・ロワイヤルのあるぱかのレビュー・感想・評価

007/カジノ・ロワイヤル(2006年製作の映画)
3.8
新ボンドにダニエル・クレイグを据えた超人気スパイ映画007シリーズの第一作目、カジノロワイヤル。
2時間半の長丁場だ。

僕の世代にとってはこのダニエルボンドが007の"顔"なのであるが、昔からのファンの方はやはりショーン・コネリーのイメージが強いのであろうか。
当初はダニエル・クレイグが新ボンド?冗談じゃない!ってことでファンからのバッシングがひどかったと聞きます。

よくスパイ映画としてM:I、ボーンシリーズと比較されるがこの007シリーズ、やはり主人公ジェームス・ボンドがすべてと言っても過言ではない気がする。

ダニエル扮する新ボンドは、007に昇格したばかりの所謂初心者のため、ところどころで荒っぽい。ちょくちょくスーツ姿でバチッとキメるが、どちらかというとTシャツ。口数は多くはないが小洒落たジョークを交える。とまぁこんなイメージ。その魅力はどんな女性もたちまち虜にしてしまう。これ罪深過ぎる。マイアミに発つディミトリを追うためにシャンパン頼む振りして逃げるのスマートすぎて。

さて、冒頭の爆弾男を追うシーン。ここはなんといっても爆弾男の超人的な身体能力に驚かされる。
先ほども述べたがボンドは駆け出しの007。爆弾男がその身体能力を活かして最短距離で逃げ回るのに対し、ボンドは回り道をしたり、頭を使って工夫をしたり、時には壁を破って追いかけるなど、豪快そのもの。最後はもちろん殺しちゃう。
このシーンでよくわかるように、ボンドは走って走って走りまくるし、秘密兵器なんかに頼らずに己の肉体で相手を倒してしまう。

Mにも耳が痛くなるほど言われるが、手がかりとなる人物を片っ端から殺すわ一人で大胆に突入して行くわで少しも華麗ではない。だけど、それも含めて新ボンドの魅力のように映し出されているように思う。

また、今作はボンドガールであるエヴァ・グリーンとボンドの心理の駆け引きもみもの。知的な美女、だけではなくどこか謎めいた雰囲気をも醸し出す役を見事演じきっていた。シャワーシーンを通して二人の仲が深まったと思いきや…どっちなんだ!って感じのまま、徐々にお互い惹かれていたんだろう。
なかなか心の読めない冷徹な殺し屋ボンドの、奥底にある悲しみや不安がヴェスパーとの交流を通じて見て取れたのが良かった。


最後のあの決め台詞ともいえる捨て台詞

「…ボンド。ジェームス・ボンド。」

1人の男が、一度は脱いだ「甲冑」を再び付け直して登場するシーンのカタルシスよ。
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