浅野公喜

ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトル・スター・ウォーズ)の浅野公喜のレビュー・感想・評価

3.8
今年公開のリメイクではなくオリジナルの方。子供の頃テレビで断片的に観た牛乳風呂(とその後の展開)が気になって鑑賞しました。OPの「キングコング」や「スター・ウォーズ」「E.T.」等といった映画パロディから面白く、中でもMGMのライオンを真似たジャイアンが笑えます。

戦争や独裁国家という難しいテーマを取り上げつつ、前述の風呂やラジコンに乗るといった子供の願望の具現化を盛り込むことでバランスの良い作品になっており、一人一人の活躍には目を見張るものが。のび太やドラえもんをおんぶして助けるジャイアンにちょっと感動しますし、中でも戦争を前にして弱腰になっているスネ夫に対し戦車に乗り込むしずかちゃん、そしてその姿を見てしずかちゃんを守ろうと立ち上がるスネ夫の姿が眩しく、決してスネ夫に対してキツイ言葉を浴びせない&立ち上がってくれた際には素直に感謝してくれるしずかちゃんは素晴らしい女性と感じました。

また、ひみつ道具のチータローションで効き目には期限が有るという設定が終盤の伏線になっており、<良い時間は限りが有るが、同時に悪い時間にも限りが有る>というテーマが浮かび上がってくる所が見事。クジラ型の戦艦にジャイアンがまたがり自分のセーターで覆う所でスペインの闘牛をイメージしたのか一瞬だけBGMがフラメンコ風になる所も芸が細かいです。

ちなみにのび太、「プライベート・ライアン」冒頭のノルマンディー上陸作戦における内蔵が飛び出た兵士よりも制作年で言えば13年程早く終盤の銃殺刑で「ママ~!」と泣き叫んでいます(割とよくある台詞かもしれませんが)。
浅野公喜

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