ツクヨミ

アメリのツクヨミのレビュー・感想・評価

アメリ(2001年製作の映画)
4.1
絵画的な映像と奇妙な世界観。
小さいころに母親を亡くしたアメリは偏屈な父親から離れ自由を夢見て一人暮らしの日々、しかし毎日は退屈で…
ジャン=ピエール・ジュネ監督作品。ジュネ監督がアメリカで"エイリアン4"を撮った後地元フランスで撮ったのが今作だが、実にフランスっぽくて芸術的な美しさ溢れる作品だった。それはジュネ監督的シンメトリックさ溢れるショットが多いことはもちろん、今回強調されていたのは赤と緑の原色を基調とした背景がずっとある幻想的フランス下町感があるのが要員だろう。またジュネ監督と言えばのぐっと迫るかと思ったらちょっと捻るズームインは美しさと映像インパクトを兼ね備えている。
そして内容的にはジャンル分けがなかなか難しい奇妙な作風で、恋愛ものなのかコメディなのかミステリーなのかいろいろ宙ぶらりんな印象。主人公アメリを中心とした町人たちの人間模様の相互作用と言うべきか、だが群像劇というまでもない不思議な映画。
しかし"エイリアン4"でも感じたことだがジュネ監督のオープニングは少し気持ち悪くて奇妙な映像をバックにキャストを見せていくのが面白い。ジュネ監督作品を構成する要素はシンメトリー・ズームインの多様・下ネタ・キマッた映像美の4つなのかもしれない。
全体を通して奇妙で原色溢れる美しき映像とアメリを主にした魅力が詰まった変人ワンダーランドな世界観に染まる映像体験。やっぱりジュネ監督の世界観は見ていて至福を感じるなー。
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